• TSRデータインサイト

脱毛サロン「キレイモ」、国民生活センターへの苦情相談が昨年末から急増

 返金遅延などで顧客とトラブルになっている脱毛サロン「KIREIMO(キレイモ)」に対する苦情相談が国民生活センターに殺到している。2021年末から急増し、2022年2月には月間288件に達した。東京商工リサーチ(TSR)は関連資料を開示請求し、集計した。
 返金遅延が報道された今年5月初旬、キレイモを運営する(株)ヴィエリス(TSR企業コード:363955682、渋谷区)は、ようやく遅延の事実を自社ホームページで認めた。そのなかで、解約順に返金しているものの、解約が増えているため、返金に遅れが生じていると釈明した。
 しかし、この数カ月前の2021年末から相談件数は増えており、顧客とのトラブルは長期間に及んでいる。

キレイモ

‌(株)ヴィエリスが運営する脱毛サロン「キレイモ」

苦情相談の受付は昨年11月から急増

 TSRは4月11日、国民生活センターに情報開示を請求した。請求したのは、「ヴィエリス」「KIREIMO」「キレイモ」に関するPIO-NETにおける全国の消費生活相談情報。PIO-NETは、全国の消費生活センターに寄せられた苦情相談を収集するシステムで、TSRは2014年3月から2022年4月までの苦情相談受付件数を請求した。
 5月16日、4月26日時点の内容が開示された。それによると、2014年(3-12月)の苦情相談受付件数は20件だった。その後、2015年56件、2016年70件、2017年72件、2018年140件と増加を辿った。
 2019年は89件に減少したが、2020年は97件と再び増加。2021年は11月40件、12月65件と増加し、年間では182件に達した。
 2022年は1月だけで223件と急増。1カ月で2021年を上回った。2月は288件とさらに増加した。
 国民生活センターによると、PIO-NETへの苦情件数は都度の登録もあるが、集計には2カ月程度の時間差があるという。今回の開示資料では、3月49件、4月13件だが、実際の登録件数は2月を大幅に上回る可能性もある。


 ヴィエリスは、返金に関する案内で「今回の返金遅延は企業の経営陣として責を負うべき事象」と説明。今後はホームページで報告するとともに、順次、返金対応を実施していくとしている。  だが、昨年11月から相談件数が急増しても、大きく報道されるまで対外的に、今回の事態に関するコメントは一切なかった。また、返金や給与遅配に関しても詳細な説明がなく、こうした経営姿勢への不信感は大きい。  返金の時期や経営状況など、顧客への丁寧な説明が待たれる。

キレイモ


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年5月18日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年度の業績見通しに大ブレーキ 「増収増益」見込みが16.6%に急減

トランプ関税、物価高、「価格転嫁」負担で、国内企業の業績見通しが大幅に悪化したことがわかった。2025年度に「増収増益」を見込む企業は16.6%にとどまり、前回調査(2024年6月)の23.3%から6.7ポイント下落した。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月20日時点) 役員報酬1億円以上の開示は117社・344人

2025年3月期決算の上場企業の株主総会開催が本番を迎えた。6月20日までに2025年3月期の有価証券報告書を510社が提出し、このうち、役員報酬1億円以上の開示は117社で、約5社に1社だった。

3

  • TSRデータインサイト

チャプター11をめぐる冒険 ~ なぜマレリはアメリカ倒産法を利用したのか ~

ずっと日本にいるのに時差ボケが続いている。  「マレリのチャプター11が近いから関連サイトをチェックし続けろ」と6月6日に先輩に言われて以降、私の生活はアメリカ時間だ。

4

  • TSRデータインサイト

代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増

マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。こうしたトラブルが後を絶たない。背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。

5

  • TSRデータインサイト

定量×定性分析 危ない会社は増えたのか?

2024年度の全国倒産が1万144件(前年度比12.0%増)と11年ぶりに1万件を超えたが、企業の倒産リスクはどの水準にあるのか。東京商工リサーチが企業を評価する「評点」と「リスクスコア」のマトリクスからみてみた。

TOPへ