• TSRデータインサイト

オンキヨーホームエンターテイメント、困窮を極めた資金繰り

 5月13日に大阪地裁から破産開始決定を受けたオンキヨーホームエンターテイメント(株)(TSR企業コード:576419524、以下オンキヨーHE)の経営末期の困窮した資金状況が判明した。

販売不振や債権回収難などから仕入代金などの支払いが遅延していたオンキヨーHEは、2021年11月頃から事務所賃料や税金の支払いも遅れていたことがわかった。税金は、分割納付を申請していたが、今年4月分が支払えず、猶予された5月の支払いも困難となっていた。

また、オンキヨーHEの子会社であるオンキヨーマーケティング(株)(TSR企業コード:298508443)がネットワークステレオレシーバーやAVアンプなどの製品をリターンとして実施したクラウドファンディングは、約2500万円を製造委託先に支払わないと出荷できない状態だ。製品はすでに完成しているとみられる。破産管財人はホームページで、「現時点で支援者の方に対して、リターンとなる各製品を送付することは難しい状況だが、破産管財人としては、できる限りの努力を試みる」とコメントしている。

さらに、2021年9月の臨時株主総会で議決権を行使した株主へのQUOカードとクーポン券、同月時点の株主に送付予定だった株主優待も未発送だ。破産管財人は「送付する目処は立っていない」とした上で、「残余財産があれば株主に分配されるが、現時点の情報では、残余財産分配の見込みは極めて低い」との見通しを示している。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年5月18日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

次世代電池のAPB、経営騒動の舞台裏 ~ APB・大島麿礼社長 単独インタビュー ~

次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発や製造を手がける技術系ベンチャーのAPB(株)が注目を集めている。大島麿礼社長が東京商工リサーチの単独取材に応じた(取材日は4月10日)。

3

  • TSRデータインサイト

コロナ禍で急拡大の「マッチングアプリ」市場 新規参入のテンポ鈍化、“安全“投資で差別化

20代、30代の若者を中心に、恋活や婚活、恋愛の真面目な出会いを求めるマッチングアプリの利用が広がっている。マッチングアプリの運営会社はコロナ禍を境に急増し、社数は6年間で5.6倍になった。2019年3月末の5社から、2025年3月末は28社と6年間で大幅に増えた。

4

  • TSRデータインサイト

丸住製紙(株)~ 倒産した地元の“名門”製紙会社の微妙な立ち位置 ~

2月28日に新聞用紙の国内4位の丸住製紙(株)(四国中央市)と関連2社が東京地裁に民事再生法の適用を申請してから2週間が経過した。負債総額は約590億円、債権者数は1,000名以上に及ぶ。愛媛県では過去2番目の大型倒産で、地元の取引先や雇用への影響が懸念されている。

5

  • TSRデータインサイト

介護離職者 休業や休暇制度の未利用54.7% 規模で格差、「改正育児・介護休業法」の周知と理解が重要

団塊世代が75歳以上になり、介護離職問題が深刻さが増している。ことし4月、改正育児・介護休業法が施行されたが、事業規模で意識の違いが大きいことがわかった。

TOPへ