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新電力の決算、赤字率6割に迫る 2021年「新電力専業企業212社 業績動向」調査

 電力小売販売(新電力)を主力とする企業(以下、新電力専業企業)の2021年の決算(2021年1月期-2021年12月期)は、赤字が56.3%と半数を超え、前期(同24.1%)から大幅に上昇した。
 2021年1月、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格が大幅に高騰し、JEPXに電力調達を依存する新電力は調達コストが急上昇。同年3月に大手の(株)F-Power(TSR企業コード:297969072、東京都港区)が会社更生法を申請した。2021年は倒産が14件(うち、8社は同年中の電力販売実績なし)に達するなど、新電力の経営悪化が表面化した。
 電力取引価格はその後、落ち着きを取り戻したが、2021年秋には再び需給ひっ迫から上昇して新電力事業者の経営を圧迫し、コスト高による赤字が広がった。
 2022年も原油を含む資源価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻などで高止まりし、逆ざや状態が続いている。こうした状況を背景に、新電力事業者の新規契約の受付停止や事業からの撤退が相次いでいる。
 新電力専業企業は、新規受付の停止や事業撤退が経営存続に直結する。調達コストの高止まりでビジネスモデルが根本から揺らぎ、今期も赤字拡大は避けられない事業者は多い。特に、経営体力の乏しく新電力以外の事業基盤を持たない専業企業の動向は注目を集めている。

  • ※電力小売の免許を持つ「登録小売電気事業者」(4月22日現在、744社)のうち、TSR企業情報で主業種を「電気業」としている企業を「新電力専業企業」と定義し、抽出した。
    2021年中の業績(2021年1月期-12月期決算の売上高と最終利益、もしくは売上高と最終利益のいずれか)が判明した212社を対象とし、東京電力など大手電力会社10社は除く。


最新期 増収減益で赤字転落

 最新期決算で3期連続比較が可能な137社の売上高の合計は、2021年期が1兆8,699億円(前期比2,348億円増、14.3%増)と、増収だった。
 電力小売自由化で、大手電力会社から顧客を争奪しながら新電力市場を拡大、最新期も売上を伸ばした。
 一方、当期利益の合計(対象139社)は593億円の赤字で、前期(326億円の黒字)から大幅に落ち込み、赤字に転落した。
 2021年1月以降の電力需給ひっ迫で、調達価格の高騰が影響、利益を押し下げた。

新電力

赤字率が急上昇、6割に迫る

 最新期の損益が判明した181社中、黒字は79社に対し、赤字は102社(構成比56.3%)と6割に迫った。
 赤字企業は、前期(2020年)が24.1%(178社中、43社)、前々期が29.6%(155社中、46社)だったが、最新期は急上昇し、半数以上が赤字に転落した。自前の発電施設や固定価格の調達先を持たず、JPEXへの取引依存度が高い新電力ほど事業環境が悪化し、利益確保が難しかった。

新電力

売上高10億円未満が約5割

 最新決算の売上高別(対象183社)では、最多が売上高1~5億円未満の45社(構成比24.5%)。次いで10~50億円未満が42社(同22.9%)、100億円以上が39社(同21.3%)続く。
 売上高10億円未満の小規模企業が86社(同46.9%)で、全体の5割を占めた。一方、100億円以上も約2割を占め、このうち売上高1,000億円以上は5社だった。
 全国にサービスを展開する大手と、地域限定やターゲットとなる顧客層を絞って独自サービスを手掛ける企業との2極化が特徴となっている。

新電力

電力小売自由化を機に創業が約8割

 業歴別は、5~10年未満が最多の108社(構成比50.9%)で、全体の約半数を占めた。  次いで、5年未満が54社(同25.4%)、10~50年未満45社(同21.2%)と続き、業歴50年以上は5社(同2.3%)にとどまる。
 業歴10年未満が76.4%と8割に迫るが、2016年4月にスタートした電力小売の完全自由化に合わせて創業した企業が大半を占める。一方、業歴10年以上の企業は、もともとの業種から業態転換し、新電力を事業の核に据えた企業が多い。

新電力


 新電力のシェアは2016年4月の電力小売自由化以降、2021年3月までの5年間で全販売電力量の約2割(19.5%、資源エネルギー庁公表)まで伸びた。それまで地域の大手電力会社の寡占状態だった市場が激変し、顧客の需要家は価格やライフスタイル、価値観などに応じ電力会社を選択できるようになった。
 「登録小売電気事業者」は、大手メーカーやガス販売、石油元売、通信など既存サービスとの相乗効果を活かした異業種との併営組と、新電力事業のみを専業とする企業に大分される。
 採算悪化による事業撤退は、他に事業の柱を持つ併営組に対し、一本足打法の新電力専業企業にとって死活問題に直結する。2021年以降に経営破たんした新電力15社は、すべて専業企業だった。
 調達コストの高騰が続く局面で、「電気を安く仕入れ、高く販売する」ビジネスモデルが崩壊したことで、利ざや商法に頼る新電力ほど根底が揺らいでいる。
 ロシアのウクライナ侵攻などでエネルギー価格の高騰が続くなか、事業環境の劣悪化は避けられず、新電力業界は淘汰リスクが高まり、大きな岐路に立たされている。

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