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ロシアのウクライナ侵攻に関するアンケート調査 非鉄金属製造は全社が「経営にマイナス」

 2月24日にロシアがウクライナ侵攻してから約2カ月が経過した。日本や欧米各国は、ロシアへの経済制裁を強めている。
 ロシアのウクライナ侵攻による国内企業への影響について、東京商工リサーチ(TSR)は4月1日~11日にかけてアンケート調査を実施した。それによると、すでに経営にマイナスの「影響を受けている」は35.5%、「今後影響が見込まれる」は46.0%で、合計81.5%の国内企業が経営への影響を懸念していることがわかった。
 回答企業のうち、「影響を受けている」と「今後影響が見込まれる」を合計した「影響率」は、アルミニウムや亜鉛などの「非鉄金属製造業」が100%だった。
 また、「今後影響が見込まれる」と回答した企業では、影響の表れる時期について約8割(構成比78.3%)が「6カ月以内」と回答した。
 コロナ禍の経済活動の縮小から、ようやく立ち直りつつあった国内企業に、ロシア・ウクライナ情勢は資源・エネルギー価格高騰や商圏縮小など新たな経営リスクとして急浮上している。

  • ※本調査は、2022年4月1日~11日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5,783社を集計・分析した。
    資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した

Q1.ウクライナ情勢の緊迫化に伴い、貴社は経営にマイナスの影響を受けていますか?(択一回答)

8割超が「マイナスの影響」がある
 ウクライナ侵攻でマイナスの「影響を受けている」は35.5%(5,783社中、2,055社)、「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」は46.0%(2,663社)で、合計81.5%が「マイナスの影響」があると回答した。
 規模別では、「マイナスの影響」があると回答したのは、大企業80.9%(781社中、632社)、中小企業81.6%(5,002社中、4,086社)で、ほぼ規模の格差はなかった。

アンケート

影響率、「非鉄金属製造」がトップ
 「影響を受けている」、「今後影響が見込まれる」と回答した企業を業種別(業種中分類、回答母数20以上)で分析した。
 影響に言及した企業の構成比(影響率)の最高は、「非鉄金属製造業」で100%(25社中、25社)だった。このうち、すでに「影響を受けている」は17社だった。
 以下、「農業」、「自動車整備業」の95.0%、「ゴム製品製造業」の94.1%、「木材・木製品製造業」の92.3%と続く。

アンケート

Q2.Q1で「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」と回答された方に伺います。影響が表れるのは、いつ頃を見込んでいますか?(択一回答)

「6カ月以内」が約8割
 Q1で「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」と答えた2,658社から回答を得た。
 「6カ月以内」が78.3%(2,083社)で、現在、影響が顕在化していない企業も比較的早い時期の経営への逆風を予想している。規模別では、大企業が80.9%(377社中、305社)、中小企業が77.9%(2,281社中、1,778社)だった。

Q3.Q1で「影響を受けている」、「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」と回答された方に伺います。どのような影響を受けていますか(見込まれますか)?(複数回答)

「利益圧迫」が最多
 Q1で「影響を受けている」、「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」と答えた4,516社から回答を得た。
 最多は、「原油以外の原材料高騰に伴う利益圧迫」の73.5%(3,323社)。次いで、「原油高騰に伴う利益圧迫」の67.3%(3,041社)で、多くの企業がコストプッシュによる利益押し下げを懸念していることがわかった。
 また、「現地(ロシア・ウクライナ)で生産、部品調達がしにくくなった」は7.9%(359社)、「現地以外での生産、部品調達がしにくくなった」は17.2%(778社)で、サプライチェーンへの影響は大きい。

アンケート

Q4.Q3で「現地(ロシア・ウクライナ)での生産、現地からの部品調達がしにくくなった」、「現地以外での生産、部品調達がしにくくなった」と回答された方に伺います。貴社ではどのような対応策を取っている(取る予定)ですか?(複数回答)

3割弱が「国内回帰」へ
 Q3で「現地(ロシア・ウクライナ)での生産、現地からの部品調達がしにくくなった」、「現地以外での生産、部品調達がしにくくなった」と答えた842社から回答を得た。
 最多は「取引先に部品確保を要請」の51.1%(431社)。次いで、「在庫の積み増し」が43.1%(363社)だった。
 一方、「国内(日本)生産・調達へ回帰」は26.4%(223社)に達した。円安進行、新興国の経済成長で相対的に国内の人件費の割安感も出ているほか、安定調達の懸念から今後、国内回帰への動きも注目される。
 「その他」は、「取引先への納期延長依頼」(内装工事業)、「一部休業し、雇用調整助成金を申請予定」(電力制御装置製造業)など。

アンケート


 ロシアの軍事侵攻に伴うウクライナ情勢は、日本でも影響を広げている。
 アンケート調査では、「経営にマイナスの影響を受けている」と35.5%の企業が回答し、「今後影響が見込まれる」も含むと8割(構成比81.5%)にのぼる。
 「マイナスの影響」を懸念する業種は、「非鉄金属製造業」や「木材・木製品製造業」などで多く、資源大国ロシアの存在を伺わせる結果となった。また、「農業」や「自動車整備業」も割合が高く、原油高による暖房やガソリンなどの燃料費、潤滑油(オイル)の値上げなど、影響は多岐にわたる。
 「マイナスの影響」の内容は、「原油以外の原材料高騰に伴う利益圧迫」が73.5%(4,516社中、3,323社)、「原油高騰に伴う利益圧迫」が67.3%(3,041社)だった。両者のどちらか(または両方)を回答した企業は87.5%(3,954社)にのぼる。ロシア・ウクライナ情勢による原油・原材料価格の高騰は、利益圧迫の要因として、企業経営の大きな課題になっていることが浮き彫りになった。
 また、「マイナスの影響」と回答した企業のうち、選択肢以外の具体的な内容を318社が記載した。主な回答は、「投資家の投資意欲が減退」(商社)、「東欧からの注文が止まった」(塗料卸売業)、「買いだめ手配をかけたため、先行しての支払い増加」(配電盤製造業)、「中古車オークション相場の下落」(自動車販売業)など、多岐にわたる。
 サプライチェーンへの影響だけでなく、ロシアやウクライナ向けに商品・製品を販売している企業への影響も見逃せない。
 一方、生産や部品調達への対応では、「国内(日本)生産・調達へ回帰」との回答が目立った。国内企業は、これまで生産コスト削減を目指し、海外拠点での生産を推し進めてきた。だが、ひとたびカントリーリスクが顕在化するとコストアップだけでなく、資材供給や調達なども寸断される事態に直面、国を跨いだサプライチェーンの維持コストが負担になっている。
 ロシア・ウクライナの緊迫化は経済的な負の側面が強調されやすいが、企業は国内回帰も模索している。こうした動きを内需拡大へと結びつけることも重要な課題になっている。

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