• TSRデータインサイト

ムサシノ商店・田中社長、納品遅延と説明遅れを謝罪

 入学式を前に受注した学校制服の納品トラブルが生じている「ムサシノ学生服」。4月7日午前、店舗を運営する(株)ムサシノ商店(TSR企業コード:290415373、武蔵野市)の田中秀篤社長が会見し、「対応が後手に回り、今回の事態を引き起こして申し訳ございません」と謝罪した。田中社長は、3万人分の受注に対し、4月6日午前0時時点で約100人分の制服が届けられず、入学式に間に合わなかった恐れがあることを明らかにした。

 納品トラブルについて、「(受注数を)予想しながら準備してきたが、コロナ禍や受注会が遅くなるなど小さなズレが重なり、非常にタイトなスケジュールになってしまった」と理由を述べた。田中社長によると、約300の制服販売指定校のうち、250校がオリジナルの制服で、受注数の予想が難しくなっているという。
 入学式を控えた学生や保護者への説明が遅れた理由を問われると、「1点でも早く納品すべきと考えていた。どのように説明したらいいのかわからなかった」と釈明した。また、「信頼回復に努め、早く体制を整えたい」と述べた。
 学生服関連企業の担当者は東京商工リサーチの取材に対し、「学生服は合格発表から入学式までのスケジュールがタイトで、規格外サイズなど特注品の納品遅れは例年発生する」と実情を明かす。その上で、「学生服メーカーなども販売店に人員など応援に出し、なんとか間に合わせてきた」という。
 今回の事態は、業界構造にも一石を投じている。

会見

ムサシノ商店の田中社長(TSR撮影)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ