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サイボウズ青野社長「私は今年2回しか出社していない」、「見える化」進むテレワーク 単独インタビュー(前編)

 コロナ禍で働き方が大きく変化した。テレワークの導入が進んだ一方、課題も浮かび上がる。テレワークの導入に向けて中小企業は、どのように働き方改革を進めるべきか。
 東京商工リサーチ(TSR)は、グループウェア開発大手のサイボウズ(株)(TSR企業コード:820159662、東京都中央区)の青野慶久・代表取締役社長にオンラインで単独インタビューした。テレワークの課題から青野社長が個人で取り組む「選択夫婦別姓」などについて聞いた。

青野社長前編

リモートで取材に応じる青野社長

―テレワーク導入に関連して、一番伸びているサービスは

 業務アプリ構築クラウドサービスの「kintone(キントーン)」が伸びている。業務アプリケーションをプログラミングなしで作成できるクラウドサービスだ。これはテレワークが目的というより、DX(デジタルトランスフォーメーション)で、「デジタル化しないといけない」というニーズにマッチして売上が伸びている。自治体にも導入実績があり、デジタル化の流れの中で今期(2022年12月期)も伸びを期待している。

―大企業ではテレワークの導入が進んだが、中小企業は進んでいない

 進んでいるところと進んでいないところの差をみると、経営トップのコミットメントによるところが大きい。トップが「こういう機会だから、できるところからやってみよう」という企業は、テレワークが進んだ。そうした企業でも最初はテレワークでできない仕事が多かったが、実際に在宅でやってみて定着していく傾向がある。
 出社してはいけないから、今だけテレワークをするが、(緊急事態宣言などが)解除されたらみんな出社しよう、という考えの経営トップがいるところは(従来の勤務体制に)戻ってしまう傾向がある。

-サイボウズは現状、出社率が1割台程度と聞く。出社率を抑えられる理由は

 3つある。まず、制度づくり。家で働ける制度を整えることが大事だ。2つ目はツール。家で働ける道具を揃えること。家にパソコンがないとか、「クラウドサービスも使わせてくれない」という状況では家でできることがなくなってしまう。3つ目は風土作り。そういう働き方(テレワーク)は良いと、普段から思える風土作り。この3つが揃うと家でできる仕事が増える。テレワークも定着する。どれかが欠けると元に戻ってしまう。

-定着するまでの苦労は

 今も工夫しながらやっている。私も今年2回しか出社していない。2カ月で2回(取材日は2月末)。今年は10数回で済むかもしれない。出社すれば近くの人の顔色もわかるし、気軽に声をかけることもできるが、そうしたコミュニケーションはなくなってしまった。それに代わるコミュニケーションを用意しておかないと、「最近あの人のことがわからない」となる。そのため工夫して、「kintone」の機能を活用して、社内SNSのようにオンラインで呟き合うようにし、1on1ミーティングでは定時内も雑談してかまわないという仕組みを作った。オンラインイベントも開催して、仕事以外の接点をお互い作るようにした。いろいろ手を打ちながらウェットな部分も維持している。もちろん改善途中ではある。

―社内業務の見える化が進んだということか

 サイボウズは、社内業務の見える化に関しては相当進んでいると思う。グループウェアなどの情報共有ソフトを作っており、全社員のスケジュールも確認できるのでお互いの仕事が見え、どの部門の誰が何の仕事をしているか検索すればすぐ分かる。ツールを作るメーカーの立場でありながら、使いながらユーザーとして改善していく、このあたりがうまく回っている。

-中小企業でテレワークが進まない理由は

 2つある。まず、効率が落ちる不安。合理的な考え方に基づいてテレワークが難しい。それからどちらかというと、感情的な理由で、みんなで集まってワイワイするのが好きな経営者が多い。これが重なってしまうと、テレワークは進まない。感情的な理由については、私も話好きなので気持ちは分かる。だが、合理的に考えるとテレワークは効率が悪くないし、うまく使えば生産性をあげられることに気づいてほしい。(出社するための)移動時間がなくなるし、デジタルツールを使うことで今まで以上に情報共有が進んだり、チームワークがしやすくなったり、仕事の引き継ぎも簡単になる。その結果評価もしやすくなる。
 在宅勤務をできる人を増やすと、採用の幅も広がる。今までなら特定の地域に住んでいる人で、例えば1時間以内に会社に来られる人しか採用できなかったのが、全国で採用できるようになる。出社を前提にしないのであれば、北海道の人でも東京の仕事を手伝ってもらえるようになる。採用効率を考えると効率が上がる可能性がある。経営者の方にはここに目を向けて、そこに気づいてチャレンジしてほしい。

―社員(employee)の意識も大切だ

 社員は自立を求められる時代になった。今までは上司に言われるまま、会社に出社して何時から何時まで席に座り、上司から言われたら残業し、それで評価された。テレワークの時代は、「出社」に対する評価はない。どういう風に自分の仕事をアピールしていくのか、何を仕事として選択し、どのようにコミュニケーションするか。一人の仕事人として意識しながら行動しないと評価されなくなる。厳しい時代になる。
 出社しないので楽になることもあるが、その分、自立を求められる。これは日本全体にとってはとても良いことだ。働く人にとっては、これを意識しておかないと評価されない時代に入っているように思う。

(続く)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年3月14日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

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