• TSRデータインサイト

自動車部品大手マレリ、金融機関に経営再建の支援を要請

 自動車部品大手のマレリ(株)(TSR企業コード:291139833、法人番号: 8030001014831、さいたま市北区日進町2-1917、設立1938(昭和13)年8月25日、資本金4億円、代表取締役:藤井司氏)が取引金融機関に対し、支援要請交渉に入ったことが分かった。


 マレリは、空調システムや内装、コンプレッサーなどを扱う大手自動車部品メーカー。日本ラジエーター製造(株)の商号で設立され、1973年に東証1部で上場し、2000年に(株)カンセイと合併し、商号をカルソニックカンセイ(株)に変更した。

 2005年には日産自動車(株)(TSR企業コード:350103569、法人番号:9020001031109、横浜市西区)に対して第三者割当増資を実施し、連結子会社になった。その後、2016年11月に米国の投資会社KKRのグループが当社株式の公開買付を実施し、同社グループの傘下に入り、2017年5月に上場廃止した。
 2019年には、イタリア自動車部品メーカーのマニエッティ・マレリと経営統合し、現商号に変更した。事業再編や構造改革を実施していたが、2019年3月期の売上高は約3200億3400万円にとどまり、150億1200万円の赤字を計上。決算期を変更した同年12月期も84億200万円の赤字と経営環境は厳しさを増していた。
 さらに、2020年12月期は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、工場の操業停止や関連会社向けの貸倒引当金繰入なども響き、売上高は約2148億2600万円に対し、282億1400万円の赤字を余儀なくされた。
 グループへの事業移管や事業譲渡など再建を目指していたが、半導体不足もあり、業績の回復が遅れ、当社の支払い振りに注目が集まっていた。

 関係先によると、マレリの取引金融機関は約30行に及び、中国や台湾などアジアの金融機関や、国内の生命保険会社などからも融資を受けており、「海外の複数の金融機関を巻き込んだ支援要請は、これまで経験したことがない規模だ」という。
 マレリの担当者は、支援要請に関して「コメントできない」とし、「KKRのサポートを受けながら主要顧客などと密接に連携し、コロナ禍や半導体不足、輸送費高騰などの難局を乗り越える取り組みを続けている」とした。

マクド

‌マレリの本社(TSR撮影)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ