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新生銀行、工藤社長 役員の刷新「SBI以外が親会社でも方針同じ」 単独インタビュー後編

―SBIが新生銀行にこだわるのは、どのような理由と考えるか

 欲しい部分があるのだと思う。これは新生からすると基本的にはありがたい話だ。日本の大手行はこれまで合併を重ねて、大きくなった一方、我々は一つの銀行でやってきた。元々リテールもなくて、顧客基盤が小さい。
 ただ、コンシューマーファイナンスやストラクチャードファイナンスなどで、それなりに市場で存在意義のある銀行業務を持っている。とくに、ノンバンク業務は国内で寡占状態だ。リスクが高い消費者から、リスクを取ってリターンをあげるのは多くの人が持っているノウハウではない。与信判断もそうだし、オペレーションやITもあり、最終的には回収体制を含めて組織を持っている。ノンバンクは特定の銀行に集中しているので、これをセットで手に入れようとするのは難しい。

―他には?

 ストラクチャードファイナンスでも国内の再生可能エネルギーのプロジェクトファイナンスのアレンジメントで言えば、新生はトップ5には入っている。そうした特定の分野を欲しいと思われているのだろう。

新生銀工藤社長2

インタビューに応じる工藤社長

―SBIとの協業自体は嫌ではない?

 我々も“価値共創”で色々な相手と色々なエリアで組もうというプレースタイルでやってきた。その1社としてSBIと組むというのは大いにあり得る話だし、ウエルカムだ。ただ、それに加えて株を買うというので、その株を買う行為について他の株主から見てどうなのかというのが今回のTOBの話だ。

―今年1月にマネックス証券と提携した。これもSBIサイドの態度を硬化させたのでは

 それはあると思う。この(マネックスとの)提携が何なのかはあまり世の中で理解されていない。リテールの中の投信部門のコスト削減のため、その受託業務を含めた業務提携だった。投信専用のシステムやバックオフィスをアウトソースする代わりに、(提携先が)新生に商品供給をするというスキーム。そのパートナーを選ぶ際に、入札を行った。何社か候補がいたが、その中の1社がSBI証券であり、マネックス証券だった。

―そこでマネックスが選ばれた

 コスト削減の取り組みであり、なおかつ狭い分野なので、SBIの条件は明らかに劣っていた。その時点で選びようがなかった。「大株主だけ」という理由で忖度して選ぶと、それはそれで取締役会の判断としては良くない。ただ、(マネックスとの提携は)非常に狭い特定分野のパートナーシップ。それ以外の我々の小口ファイナンスの商品をSBIの顧客へ提供するアライアンスなどは被らない。
 確かに入札に参加して“選ばれなかった”ということは、自身の領域をほかの会社にとられたわけで、それはSBIも不愉快であるかもしれない。ただ、より良い条件を出してくれれば、それでよかった。入札の結果でどうこうというのはさすがに無理がある。(入札が)きっかけにはなったのかもしれないが、それが理由だったら、少しおかしな話だと思う。

―総会で否決となった場合、SBIは役員入れ替えを示唆している。別のパートナー候補にも同様の提案をされたらどうする?

 もちろん受け入れる。役員は株主が決めればいい。SBIの場合は、48%しか株を保有しないのなら「残り52%の株主の意向を代表できる人も(役員に)入れるべき」という話だ。それは、他のパートナー候補が登場した場合も同じだ。いずれにせよ、今いる取締役会のメンバーが残りたいと思っているわけではない。あるべき姿になれば良い。それは私を含めて皆同じ。ただ、それまでは(今の役員が)取締役としての責務を全うする義務がある。

―公的資金の返済方針は?

 「ズル」はしない。資本と人をしっかり使って利益を出していく。一つは今、資本に余裕があるので、ノンバンクの買収を進めるなどの余地がある。もう一つの課題は、純資産倍率で言うと0.5倍ほどと、銀行自体の株式市場での評価がもの凄く低い。純資産の半分しかない時価総額は本来おかしいが、銀行は非常に株式市場で人気がない。インデックスファンドのような受動的な投資家も増えてきたので、一つひとつの銀行の差別化が難しい。(銀行)株価はみな同じように動く。その状態を脱却しなければならないと思っている。
 我々は、ノンバンクビジネスで過半の利益をあげているので、実際には銀行業ではない。ノンバンクだと純資産倍率は1倍以上ある。実際の事業に見合う適正な倍率で市場に評価されるようにする。今、新生銀行が上場会社になっているが、持株会社を作って銀行とノンバンクを兄弟会社にするなど、様々なアイデアがある。この二つの組み合わせで(市場からの)評価を上げ、返済につなげていく。

―それはSBI以外が親会社でも変わらない?

 誰が株主になろうが、特別な案があるわけではない。国が保有している株が普通株になっているので、株主全体が同じような利益を受けられるように企業価値を上げるしかない。7450円でなくても5000円や6000円になった時点で株主の決議を得て、国の普通株を優先株に再び戻す、なども考え得る。
 (公的資金を)返していないのは事実だが、その原因は“資金がない”のではない。返済原資はある。10数年前に普通株に転換してしまったことが問題。株主平等の原則を通じて、単に国だけではなく(株主)全員に高い価値を提供しなければならなくなった。SBIにも特殊な案があるはずもないのは当然だ。
 逆に、いま適正だと思われている戦略と全然違うことをやり始めると明らかに価値を毀損する。例えば「第4のメガバンクとして地銀に出資しましょう」みたいな話になると、資本の使い方として問題も生じる。価値毀損がなければ、そこは誰が株主になっても公的資金返済に向けてやっていけると思っている。

  銀行では前代未聞の展開となったSBIホールディングスによる新生銀行への敵対的TOB。SBIによる提案について、新生銀は条件付きで受け入れる意向はあった。だが、SBIが頑なに“譲れない”とする「48%の壁」は高く、11月25日の株主総会で新生銀が株主に対し、新株予約権の無償割当てを諮る他なくなった。
 新生銀は、所有子会社などの都合で、SBI側が48%までしか新生銀株を保有することのできない状況を「少数株主に不利となるなど、株主の平等性に欠ける」と指摘。徹底抗戦の構えを見せる。
 ただ、新生銀は9月に買収防衛策を発表以降、表立って事態が好転する様子は見られず、肝心の“ホワイトナイト”の存在についても明確なアナウンスはない。
 11月上旬には米国議決権行使助言会社が新生銀への支持を表明し、迫る25日の総会をめぐる展開はさらに複雑さを増している。残すところ2週間。総会に向け、水面下での株主説得とともに両者はラストスパートに入った。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年11月12日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

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