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関西スーパー臨時株主総会の集計結果、オーケーが差し止めの仮処分を申請

 (株)関西スーパーマーケット(TSR企業コード:570048320、伊丹市、東証1部、以下関西スーパー)が10月29日に開催した臨時株主総会で諮った関西スーパーとエイチ・ツー・オーリテイリング(株)(TSR企業コード:570169607、大阪市北区、東証1部、以下H2O)グループの経営統合案について、食品スーパーのオーケー(株)(TSR企業コード:290029155、横浜市)は、同総会での議決権行使の投票集計に疑義が生じたとして、11月9日、神戸地裁に、同総会で可決された関西スーパー・H2O子会社の株主交換による経営統合案の差し止めを求める仮処分を申請した。
 総会で一度可決された関西スーパー・H2Oの統合案は、一度白紙となる可能性も出てきた。

 オーケーの代理人弁護士3名が9日午後、神戸地裁を訪れ、仮処分を申請した。
 関西スーパーは10月29日、臨時株主総会で関西スーパーとH2Oグループの経営統合案を66.68%の賛成で可決した。しかし、オーケーは11月8日、総会での議決権行使の投票集計に疑義が生じたと訴えていた。
 関西スーパーをめぐっては、今年6月、オーケーが関西スーパーに買収を打診したが、8月、関西スーパーがH2Oの傘下入りを表明。オーケーが9月上旬に関西スーパーへのTOB実施の打診を表明し、取引先や個人投資家を含む株主らに意向を問う泥沼に発展していた。
 10月29日の臨時株主総会では、関西スーパー・H2Oの統合案への賛成比率が66.68%と可決に必要な3分の2(66.66%)を僅かに上回った。オーケー、関西スーパーが8日と9日に開示したリリースによると、事前投票で賛成を投じていた株主1名が総会当日の投票の際に、白票で投票。当日に白票で投票された場合、棄権扱いとなるため、この株主の投票で総会当日の投票結果は否決となったが、関西スーパーが株主の事前投票の判断を優先して賛成で処理し、総会で投票結果が可決となった。
 
 関係者によると、「株主1名の投票で賛否が分かれる」という。オーケーは「通例では総会後1カ月ほどで総会検査役による報告がなされるが、今回は報告が総会1週間後と異例の展開だった」とし、今回の仮処分の申請に際して「一旦確認された”否決”が”可決”に覆された事実は変わらない」と主張し、争う姿勢を示している。

オーケー二宮社長(後編)

オーケーの二宮社長(10月、TSR撮影)

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