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マツダグループ1次仕入先の製造業では、中国地区が4割以上(国内)

 8月25日、マツダ(株)(TSR企業コード:740083694、法人番号:3240001036223、広島県安芸郡、東証1部)は、本社工場(広島市)と防府工場(山口県防府市)の2工場の操業停止を8月25日から27日まで3日間、延長を発表した。
 中国の空港職員が新型コロナウイルスに感染した影響で、現地からの自動車部品の貨物便が運休しているため、8月23日夜勤の一部から操業を停止していた。貨物便の運航再開は不透明なため、28日以降の操業は現時点では未定という。
 東京商工リサーチ(TSR)は、マツダおよび同社グループ(以下、マツダグループ)と直接取引のある1次、間接取引の2次のそれぞれ取引先数を調べた。取引先総数は仕入先が6,426社(重複除く)、販売先は4,138社(重複除く)だった。
 マツダグループの1次仕入先(1,567社)は、業種別では製造業が563社で最も多く、全体の3割以上(構成比35.9%)を占めた。また、1次仕入先の製造業のうち、マツダの本社工場や関連会社が多い中国地区には257社(構成比45.6%)と集中している。
 新型コロナウイルス感染拡大は、国内外で影響が長引き、自動車業界では半導体不足、原材料価格の大幅高騰に加え、物流面でも課題が浮かび上がっている。今回の操業停止は一時的にしても、自動車業界はすそ野が広いだけに、直接・間接に関わる中小企業への影響は深刻で、今後の動向が注目される。

  • 本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、マツダおよび同社グループの仕入先、 販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分け、業種、地区、規模などを抽出、分析した。
    1次取引先は直接取引のある取引先、2次取引先は1次取引先と直接取引がある間接取引企業を示す。
    マツダのほか、2021年3月期の有価証券報告書に記載されている国内連結子会社22社、持分法適用会社7社(サンフレッチェ広島除く)の合計30社を対象とした。

マツダ

マツダグループの取引先 1次仕入先の最多業種は自動車部分品・附属品製造業

 マツダグループと直接取引の1次仕入先は1,567社だった。産業別の最多は、製造業の563社(構成比35.9%)。以下、卸売業が368社(同23.4%)、自動車整備業などを含むサービス業他が268社(同17.1%)と続く。
 製造業(563社)を業種別でみると、最多は自動車部分品・附属品製造業が115社(構成比20.4%)。次いで、金属用金型・部分品・附属品製造業33社(同5.8%)、金属工作機械製造業20社、オフセット印刷業(紙)19社、金属プレス製品製造業16社の順。
 2次仕入先は、1次仕入先の3.3倍の5,211社だった。産業別の最多は、製造業の2,301社(構成比44.1%)。以下、卸売業1,755社(同33.6%)で、この2産業で7割以上(同77.8%)を占めた。
 販売先は、1次販売先が1,518社、2次販売先は2,741社だった。産業別は、1次販売先が小売業の570社(同37.5%)、2次販売先はサービス業他が633社(同23.0%)で最も多かった。
 販売先の業種別では、1次・2次ともに、自動車(新車)小売業(1次415社、2次231社)が最も多く、次いで自動車一般整備業(1次260社、2次154社)の順。

マツダ

マツダグループ取引先の本社地 1次仕入先は中国が4割以上を占める

 マツダグループの取引先の所在地は、1次仕入先(1,567社)の最多は中国の699社(構成比44.6%)。以下、関東343社(同21.8%)、中部183社(同11.6%)と続く。
 一方、1次販売先(1,518社)は、最多が中部の346社(構成比22.7%)。次いで、関東255社(同16.8%)、近畿214社(同14.1%)の順。
 都道府県別では、1次仕入先の最多は広島県の526社(同33.5%)。次いで、東京都が194社(同12.3%)、愛知県が110社(同7.0%)、大阪府103社、岡山県93社の順。
 1次販売先では、大阪府が154社(構成比10.1%)で最も多い。以下、広島県が134社(同8.8%)、愛知県が103社(同6.7%)、静岡県が84社、長野県の82社と続く。
 本社や本社工場、三次事業所のほか、多くのグループが存在する広島県は、1次仕入先で1番目、2次仕入先で3番目、1次販売先で2番目、2次販売先で4番目に取引先数が多い。
 また、1次仕入先のうち、製造業(563社)では、広島県が178社(構成比31.6%)と最も多く、2番目が岡山県の60社(同10.6%)だった。中国5県(広島県、岡山県、山口県、島根県、鳥取県)では257社と、4割以上(構成比45.6%)を占めた。

マツダ


 マツダの2021年3月期決算(連結)の売上高は2兆8,820億円で、当期純利益は316億円の赤字だった。2022年3月期は売上高3兆4,000億円、当期純利益350億円の黒字を見込んでいる。
 ただ、新型コロナウイルス感染拡大が続き、半導体不足などによる部品調達に課題を抱えていたところに、物流面での問題も浮き彫りになった。
 自動車産業はすそ野が広く、マツダも関連会社や下請け企業は本社のある広島県や岡山県など、中国地区を中心に広がっている。操業停止が長引くと、地元経済への影響も懸念される。

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