• TSRデータインサイト

「平均年間給与」調査 銀行トップは三井住友銀行 842万2,000円

 国内78銀行の2021年3月期の平均年間給与(基本給与+賞与・基準外賃金、以下、平均給与)は606万6,000円(中央値608万4,000円)だった。前年の607万3,000円(同610万8,000円)からは7,000円減少(0.1%減)し、2年連続で前年を下回った。
 平均給与トップは、三井住友銀行が842万2,000円(平均年齢38.0歳)で、3年ぶりにトップに返り咲いた。2位はあおぞら銀行の808万9,000円(同43.3歳)。3位は前年トップの東京スター銀行の801万1,000円(同42.8歳)だった。メガバンク3行は上位10位に入ったが、三井住友銀行を除く2行は前年を下回り、メガバンクでも明暗を分けた。
 業態別では、大手行は767万3,000円(前年762万5,000円 )で唯一、平均給与が上昇した。
 一方、地方銀行は620万円(同620万2,000円)、第二地銀は548万5,000円(同551万2,000円)で、そろって前年を下回った。
 銀行は、コロナ禍で中小・零細企業への支援策を通じて存在感を高めている。しかし、依然として厳しい経営環境に変わりはなく、収益格差は拡大している。今後、銀行の給与動向は、行員への待遇改善か、先を見越しての給与抑制か、経営体力に応じて格差が広がるとみられる。

  • 本調査は国内銀行の2021年3月期の有価証券報告書で、従業員数、平均年間給与、平均年齢が判明した78行(大手行6行、地方銀行45行、第二地銀27行)を対象に集計、分析した。

平均給与 増加38行、減少40行

 78行の2021年3月期の平均給与は606万6,000円で、前年(607万3,000円)から7,000円減少した。中央値は608万4,000円で、前年(610万8,000円)から2万4,000円減少した。
 平均給与が増加したのは、大手行6行のうち3行(前年4行)、地方銀行45行のうち22行(同24行)、第二地銀27行のうち13行(同13行)の合計38行(構成比48.7%、前年41行)。2018年3月期(増加17行、減少61行)以来、3年ぶりに『減少』行数が『増加』行数を上回った。
 78行の2021年3月期の平均給与は、ピークの2007年3月期の648万2,000円(中央値653万9,000円)に比べ、41万6,000円減少(6.4%減)した。
 業態別は、大手行が767万3,000円(前年差4万8,000円増)で、3年連続で増加した。
 一方、地方銀行は620万円(同2,000円減)で2年ぶり、第二地銀は548万5,000円(同2万7,000円減)で2年連続で、それぞれ減少。
 大手行との差は、地方銀行が147万3,000円(前年142万3,000円)、第二地銀が218万8,000円(同211万3,000円)で、給与格差が拡大した。また、地方銀行と第二地銀では、地方銀行が71万5,000円(同69万円)多く、ここでも差が広がった。

銀行平均給与

増加額トップ 南都銀行で、前年より20万7,000円増

 個別銀行の平均給与の増加額では、最高は南都銀行の20万7,000円増(656万5,000円→677万2,000円)。次いで、琉球銀行18万1,000円増(592万6,000円→610万7,000円)、スルガ銀行17万8,000円増(694万7,000円→712万5,000円)、高知銀行16万6,000円増(524万円→540万6,000円)、大分銀行16万1,000円増(616万2,000円→632万3,000円)の順。
 一方、最も減少したのは、前年トップだった東京スター銀行の31万円減(832万1,000円→801万1,000円)。以下、福岡中央銀行25万円減、みちのく銀行24万7,000円減と続く。
 平均年齢を基にした年代別の平均給与トップは、40歳以上があおぞら銀行808万9,000円(平均年齢43.3歳)、39歳以上40歳未満が南都銀行677万2,000円(同39.5歳)、38歳以上39歳未満が三井住友銀行842万2,000円(同38.0歳)、38歳未満が福岡銀行682万1,000円(同37.0歳)。

行員数 4年連続で減少

 78行の行員数合計は20万3,785人で、前年の20万7,989人から4,204人減少した。減少は、2018年3月期以降、4年連続となった。
 業態別は、大手行9万9,128人(前年比2,771人減)、地方銀行8万1,544人(同1,173人減)、第二地銀2万3,113人(同260人減)で、全業態で行員数が減少した。
 行員数の減少は、大手行3行(前年5行)、地方銀行36行(同43行)、第二地銀18行(同24行)の合計57行(同72行)。

銀行平均給与

平均年齢 2年連続最高齢を更新

 78行の行員の平均年齢は39.5歳で、前年の39.4歳より0.1歳上昇した。
 業態別は、大手行が40.0歳(前年差±0.0歳)だった。一方、地方銀行は39.5歳(同0.2歳上昇)、第二地銀39.6歳(同0.1歳上昇)で、それぞれ上昇した。
 平均年齢の上昇は、大手行4行(前年6行)、地方銀行36行(同32行)、第二地銀16行(同23行)の計56行(同61行)。

銀行平均給与

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【TSRの眼】「トランプ関税」の影響を読む ~ 必要な支援と対応策 ~

4月2日、トランプ米国大統領は貿易赤字が大きい国・地域を対象にした「相互関税」を打ち出し、9日に発動した。だが、翌10日には一部について、90日間の一時停止を表明。先行きが読めない状況が続いている。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 インバウンド需要と旅行客で絶好調 稼働率が高水準、客室単価は過去最高が続出

コロナ明けのインバウンド急回復と旅行需要の高まりで、ホテル需要が高水準を持続している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2024年10-12月期の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、前年同期を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年度の「後継者難」倒産 過去2番目の454件 代表者の健康リスクが鮮明、消滅型倒産が96.6%に 

2024年度の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は、過去2番目の454件(前年度比0.8%減)と高止まりした。

5

  • TSRデータインサイト

2025年「ゾンビ企業って言うな!」 ~ 調達金利の上昇は致命的、企業支援の「真の受益者」の見極めを ~

ゾンビ企業は「倒産村」のホットイシューです、現状と今後をどうみていますか。 先月、事業再生や倒産を手掛ける弁護士、会計士、コンサルタントが集まる勉強会でこんな質問を受けた。

TOPへ