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第6回 上場企業「雇用調整助成金」調査

 新型コロナ感染拡大に伴い2020年4月に始まった現行の雇用調整助成金(以下、雇調金)特例措置は3月末で丸1年が経過し、2年目に突入した。
 2021年4月末までに決算資料で雇調金を計上、または申請が判明した上場企業は716社で、上場企業全体の18.6%にあたることがわかった。前回調査の2021年3月末の703社から13社増えた。
 716社の雇調金の計上額は合計3944億7530万円に達し、3月末から310億7550万円増加した。5月末の開示分では計上額が4000億円を超える見通しとなった。
 昨年4月に始まった緊急事態宣言による休業措置で、当初は従業員数の多い製造や小売の一時休業に伴う申請が目立った。その後、航空、鉄道・バスなど交通インフラを含む運送と観光・レジャーなどのサービスで計上が相次ぎ、長引くコロナ禍による影響の広がりを反映している。
 3度目の緊急事態宣言は1カ月が過ぎたが、対象地域で5月末期限をさらに延長する見通しとなった。東京五輪・パラリンピック開催を控えるが、需要回復が厳しい業種を中心に、今後も雇調金の申請、計上額はさらに増えるとみられる。

【業種別】サービスで増勢が顕著

 716社の業種では、製造が278社(計上額811億6550万円)で最多だった。
 次いで、観光を含むサービス141社(同833億3140万円)、小売136社(同669億9430万円)、運送(同1305億8520万円)、卸売(105億7170万円)各44社の順。
 全上場企業に対する利用率は、小売が約4割にあたる38.8%でトップ。次いで、航空、鉄道など交通インフラを含む運送が35.2%、サービス26.7%と続き、BtoC業種が上位を占めた。製造は18.6%だった。
 休業要請が続く外食や乗客数減が長引く交通インフラで、今後も増加懸念がある。

【計上額別】「50億円以上100億円未満」が10社に増加

 716社中、計上額別の最多は1億円未満で272社(構成比38.0%)だった。社数は3月末(273社)から1社減った。
 一方、1億円以上5億円未満が235社(同32.8%)と6社増えた。1億円未満にとどまっていた中堅企業などの追加計上が増加し、計上額が1億円を超えたことが要因。
 3月末と比べ社数増は、50億円以上100億円未満(8社→10社)、10億円以上50億円未満(60社→62社)、5億円以上10億円未満(62社→64社)、1億円以上5億円未満(229社→235社)。
 100億円以上は、前月と同数の4社だった。

業種による業績の“二極化”が広がる

 2020年4月からの雇用調整助成金の特例措置期間中に、雇調金を申請・計上した企業は716社で上場企業の18.6%にのぼる。3月末に比べ、0.3ポイント上昇し、雇調金を活用する上場企業は増え続けている。当初、昨春の緊急事態宣言で休業を余儀なくされたメーカー、小売で申請が増えたが、長引くコロナ禍の影響はサービス業や観光、外食、航空・鉄道などでも深刻さを増し、追加計上が相次いだ。計上額の上位10社の内訳は、6社が運送業、3社がサービス(すべて観光関連)、1社が小売(外食)で、従業員を多数抱え、需要の改善が遅れる業種で目立つ。業種による業績の“二極化”の広がりを反映している。
 4月末に発令された3度目の緊急事態宣言は、期限の5月末以降も延長する見通しとなった。今回の緊急事態宣言でも、宣言区域の百貨店や一部の飲食店では不要不急のフロアを除いて休業するなど営業活動が大きく制限されている。さらに、観光やレジャー関連、交通インフラでは、2年連続で5月の大型連休の需要が消失した。
 2020年度分の雇調金の支給額は3兆1555億円で、リーマン・ショック直後の支給額(約6500億円)の約5倍に達した。21年度予算では、雇調金予算6117億円に加え、週20時間未満で働くパート従業員を対象に緊急雇用安定助成金124億円を計上している。だが、2021年度の雇調金は5月21日までに3735億円が充てられている。特例措置は、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置(まん延防止措置)の対象地域を除き、4月で終了し、5月以降は一部支給金額を減額して継続する。一方、緊急事態宣言やまん延防止措置対象地域は、6月以降も宣言・措置が延長されることから、現行の特例措置を7月まで延長する方針だ。全国的な感染者数の増加で、業績回復に時間を要する企業を中心に雇調金の活用が続き、計上額はさらに増えるとみられる。

雇調金0527

‌雇調金の計上額は増加傾向で推移(TSR作成)

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