• TSRデータインサイト

「PCRなど遺伝子検査」 関連企業調査

 新型コロナウイルスの感染拡大で検査を希望する人が増え、民間企業を中心にPCRなど遺伝子検査関連企業(以下、検査関連会社)が急増している。東京商工リサーチ(TSR)の保有する企業データベース(約390万社)で、「PCR検査」「抗原検査」「遺伝子検査」などを展開する検査関連会社は、2021年3月末現在で138社。1年前と比べ56社(68.2%増)増えたことがわかった。
 厚生労働省によると、2021年4月25日現在、PCR検査実施人数は延べ1,082万人に達し、PCR検査の約6割(構成比58.1%、同月22日現在の累計)は民間検査会社が担っている。
 コロナ禍前の検査関連会社は、医療や健康などの遺伝子検査会社が中心で、2020年3月まで「PCR検査」の企業情報は確認されなかった。ところが、感染拡大後、「PCR検査」は2020年9月に8社、21年3月には21社へ急増した。検査関連会社138社のうち、2020年以降の設立は30社(構成比21.7%)で、全体の2割がコロナ禍で新設されている。
 コロナ感染を心配する人が増えるにつれ、ノウハウの乏しい企業による検査や高齢者にPCR検査が安くできることを謳った手紙が届くなど、消費者トラブルも懸念されている。厚生労働省は、自費検査を提供する検査機関を公表している。
 大型連休(GW)を前に3度目の緊急事態宣言が発令され、感染拡大防止でも検査関連会社の重要性が増している。コロナ禍の収束まで、しばらく検査関連会社の新規参入は続くとみられる。

  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象約390万社)から、営業種目や業績変動要因(主要分)に「PCR検査」「抗原検査」「抗体検査」「核酸検査」「遺伝子検査」などの記載がある会社を抽出、分析した。

 検査関連会社は、2020年3月まで約80社で推移していた。大半が医療やダイエット、臨床分析など「遺伝子検査」や「DNA検査」が中心だった。
 だが、コロナ禍の2020年9月には101社に急増し、2021年3月は138社に達した。増えた会社は、「PCR検査」や「抗原・抗体検査」などが目立つ。
 21年3月の検査関連会社138社の設立年をみると、2000年以前は20社(構成比14.4%)に過ぎない。一方で、2020年は20社(同14.4%)、21年も3カ月で10社(同7.2%)設立され、有力市場を狙い新規参入が後を絶たないことがわかる。

PCR

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ