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レース販売がピークの5分の1に、高付加価値が浮上の鍵

 自動車のシートカバーやテーブルクロス、家電カバー、カーテンなど、高貴ながら身近な存在だった「レース」。だが、生地の多様化などで2020年の販売金額はピークの1995年から5分の1まで落ち込んだ。
レース製造業者は淘汰や廃業が加速し、20年の製造業者27社の利益計が赤字に転落、我慢の展開が続く。


 レース生地の製造業者は小規模企業が多く、経営者の高齢化や後継者難で、多くは廃業に追い込まれた。市場も縮小し、業者数の減少に歯止めがかかっていない。
 ただ、コロナ禍で在室時間が増え、インターネット通販などで女性用レース付のインナーは伸びているという。
 日本編レース工業組合連合会の担当者は、レースの将来を「悲観していない」と語る。レース生地製造だけでなく、これまでの技術を生かしカーテンや衣料などで付加価値を高めていく方針に自信をみせる。
 レース製造技術の承継は当然だが、市場縮小のなか、新たな革新やブームを生み出せるのか。レース製造業者の歩みは続く。

レースの出荷数量は底打ちの兆し

レースの歴史

 レースの起源は諸説あるが、ラテン語やフランス語で糸やロープの意味を持つ言葉が語源といわれる。日本標準産業分類では、「綱・網・レース・繊維粗製品製造業」で分類されている。
 レースが発展したのは16世紀頃のヨーロッパ。手作業による高い技術、芸術性から貴族などが愛用したという。その後、機械による大量生産で、レースは世界に広がった。
 日本では昭和に入り、高価だったピアノやテレビのカバーに使われた。さらに、テーブルクロスやステレオカバー、エプロン、自動車シートなど、高貴なイメージの装飾品として流行、手芸も人気だった。
 その後、機械化による大量生産が広がると、希少性が低下。多様な生地が出回るようになると、次第に需要は落ち込んでいった。
 ある手芸店の担当者は、「レース手芸は難易度が高く、細かな作業が必要で高齢者はあまりチャレンジしていない」と語る。

レース生地の出荷販売金額と出荷数量 推移

販売額はピークの5分の1、底打ちの兆しも

 日本編レース工業組合連合会の担当者は、「過去、組合員数は4,000社あったが、最近は100社を下回る」と嘆いた。
 東京商工リサーチ調べでは、「綱・網・レース・繊維粗製品製造業」の休廃業・解散は、2020年までの10年間で、計272件を数える。
 経済産業省の生産動態統計調査によると、1991年からのレース生地の出荷販売金額は、ピークの95年に538億円を記録した。だが、需要の減少とともに販売は落ち込み、2020年は101億円と、ピークの5分の1まで低下した。
 レース生地の出荷数量は、販売と同様に95年の1億1,073万㎡をピークに減少が続く。
ただ、2017年から19年は前年を上回り、20年は3,511万㎡まで減少したとはいえ、出荷数量に底打ちの兆しが見えてきた。

レース製造業27社の業績推移

レース製造業27社の業績推移

 2020年1-12月期の決算が判明し、3期連続で比較できるレース製造業27社の業績を分析した。 27社の売上高(合計)は、2018年が118億4,200万円、19年は前年比5.2%減の112億1,500万円、20年も前年比5.2%減の106億2,400万円と年間5%の減少をたどる。
 当期純利益(合計)は、2018年が2億4,400万円、19年が前年比45.0%減の1億3,400万円、20年には前年比234.3%減の1億8,000万円の赤字に転落した。
27社は、売上高5億円未満が20社(構成比74.0%)と7割以上で、資本金5,000万円未満も23社(同85.1%)と8割を上回り、小規模企業が大半を占める。
一方で、業歴は50年以上が21社(同77.7%)と8割近くが老舗企業だ。
 都道府県別では、繊維工業が盛んな福井県の7社(同25.9%)が最多で、大阪府と栃木県が各4社(同14.8%)、群馬県が3社(同11.1%)と続く。
 27社のうち、2018年と19年の当期純利益の赤字企業は6社(同22.2%)だった。これが20年は13社(同48.1%)と半数近くまで増加した。新型コロナウイルスの影響を受けた企業が多かったようだ。
◇      ◇      ◇
 レースは、カーテンレースなどのインテリアから婦人服など衣料、シーツなど寝装、と幅広い分野に浸透している。
日本編レース工業組合連合会の担当者は、「新型コロナの影響はもちろんあるが、衣料品は通信販売などコロナ禍で伸びている」と説明。市場は縮小するが、「将来に悲観していない。生地製造だけでなく、縫製や加工など付加価値を高めていく」と意気込みを語る。
 高い技術力を背景に、市場ニーズをとらえた商品開発。その一方、廃業も多く後継者育成も課題になっている。コロナによる巣ごもりで、衣料品や手芸などでレースが見直されるチャンスでもある。
 レース生地の出荷数量は、底打ちの兆しがようやくみえてきた。老舗企業の努力で高付加価値製品が市場に戻れば、新たなレースブームが再到来するかもしれない。

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