• TSRデータインサイト

リサ・パートナーズ成影社長 独占インタビュー(後編)「生かす企業」と「もうダメな企業」の見極めが重要

-ファンド立ち上げで大切にしていることは

 再生ファンドは期限が迫ってくると後継ファンドを作るが、今年は2つの後継ファンド(の組成)に着手している。どうやってシームレスに、途切れないようやっていくか大事にしている。
来年、再来年にファンドの期限がくるものもある。また、そこまで期限が迫っていないものでも、今はコロナの影響で(再建に)ある程度の時間が必要になっているので、残り2、3年では厳しいケースも出てくる。
次に新しくやると言っても、金融機能強化法は時限立法のため、期限の直前に新規案件が増えれば満杯になってしまう。だから、後継ファンドを作り、時間的余裕を作ることが必要だ。後継ファンドの整備のため、中小企業基盤整備機構とやり取りを続けている。こういった再生ファンドの対象は主に中小企業になる。
中小企業よりももう少し規模の大きいところであれば、プライベート・エクイティ、もしくは銀行から直接、債権買い取りというやり方になる。エクイティを出す場合もある。

-事業承継に悩まれている方は多い

 コロナ禍で経営者は大変だと思う。今は融資など資金繰り支援で一息ついているが、経営者には「この後どうなるのか」と不安がある。アフターコロナでは(コロナ前の)7割に戻ればいい方だ、という意見も一部であるが、元に戻らなければ債務は返済できない。「実質無利息3年」や「返済猶予(元本据え置き)5年」などもあるが、その間に立ち直れるか、経営者は不安に感じているのではないか。逆に言うと、本来的なキャッシュフローがあるところであれば、その間の繋ぎや、期間の長いもので言えば資本、優先株、劣後ローンなど、我々はそういうやり方で介入できる。そもそもキャッシュフローがないところは難しいが、時間はかかるかもしれないが出来るというところであれば、対応可能な先は多くあるのではないかと考えている。
また、今後は過剰債務をいかに減らすかも重要になる。「生かす企業」と「もうダメな企業」、この峻別(しゅんべつ)をちゃんとやっていかないと、地方はダメになってしまう。

成影社長

インタビューに応じる成影社長

-「生かす企業」と「もうダメな企業」の見分け方は

 難しいが、単純に言えばキャッシュフローの出る事業をやっていたかどうか。過去に実績があったとして、その事業が今後も続くかどうかも大切だ。特に、コロナを機にライフスタイルが変わる可能性がある。ライフスタイルの変化に合わせ、事業スタイルも変わっていかざるを得ない。つまり、今までの事業の継続が難しくなる場合もあれば、日の目をみなかった事業がよくなることもある。この見極めが大事だ。

-事業転換では、経営者はどんなマインドが必要か

 問い立てが逆だと思う。事業転換してでも「なんとかやっていかないといけない」と思っている経営者は事業転換できる。逆に、「どうしたら転換できますかね」と言うような経営者はできない。
どうすればアフターコロナの生活スタイルや事業スタイルに合わせてやっていけるのか、従業員たちを食わせていけるのかを一生懸命考えているような経営者であれば、こうやればいいんじゃないかというような相談もできるかもしれないが、どうやればいいですかね、などと言っている人だと難しい。

-経営者の胆力(たんりょく)も必要だ

 やはり責任の問題だとか、真剣に今やっている事業の先行きを考えて、先行きが怪しいと思うならば乗り切れる方法を探すとか、そういうのを真剣に考えるということだろう。
経営者のマインドがきちんとしていれば、我々も「この計画だったらいけるのではないか」と思うし、逆に「これって書いているだけじゃない?」と思うこともある。自身が常に思い続けていることが表に出てくる。

-今後の見通しは

 不良債権市場は、我々も長年やっているし、対応する力もあると思っているので、金融機関とも対話しながら個別の債権の買い取りを積極的にやっていく。また、地域を活性化するためのツールとして、規模の小さいところでは地域の再生ファンドもやる。これは非常に公的な部分でもある。規模の大きいところは債権の買い取りを積極化させ、地域経済の復活の一助になりたい。

 全国180の地域金融機関との緊密なネットワークを活かし、官民一体型再生ファンドなど様々な手法で経営不振企業の再生に実績を有するリサ・パートナーズ。特に、再生フェーズにある企業へのM&A助言について多くの実績を有しているが、成長企業や不動産への投融資やアドバイザリーにも積極的に取り組んできた。  再生フェーズの企業では売り手、買い手だけでなく、金融機関を含めた利害関係人の意見調整が必要で、交渉の難易度は高い。それだけに各種再生案件には、実際に取り組んできた実績と知見が欠かせない。  コロナ禍で傷んだ地域の活性化や事業再生が、全国的な課題として浮上している。リサ・パートナーズなど、再生ファンドの存在が重みを増している。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年3月15日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハウスメーカーの倒産、26年上半期9割増の衝撃 ~ 踏み切れない抜本再生、施主の権利保護も重要 ~

コスト高や人手不足などでハウスメーカー(木造建築工事業)の倒産が急増している。2026年上半期(1-6月)は118件発生し、前年同期から約9割増えた。

2

  • TSRデータインサイト

倒産と無縁の税理士業界に異変、2026年上半期は4件発生 粉飾は詐欺罪も、コンプラ違反と健康問題がリスクに

過去、税理士事務所の倒産は半年で、概ね1~2件にとどまっていた。景気状況に相関せず、倒産と無縁の税理士業界だったが、2026年上半期(1-6月)はすでに4件発生した。

3

  • TSRデータインサイト

エブリライブの元従業員、「突然の解雇」に困惑

6月初旬から連絡が取りにくくなっているライブ配信のエブリライブ(株)(東京都港区)が、同時期に大半の従業員を解雇していたことがわかった。  解雇を通知の際、エブリライブ側は従業員に「破産予定のため」と説明したという。解雇された元従業員が東京商工リサーチの取材に応じた。

4

  • TSRデータインサイト

2026年上半期「医療機関」倒産 増勢続く 上半期で2番目の38件、「後継者難」は最多

医療機関の倒産が止まらない。2026年上半期(1-6月)に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は、38件(前年同期比15.1%増)と大幅に増加した。上半期では、2006年以降の20年間で、2024年と2025年の33件を上回り、2009年の39件に次ぐ2番目の高水準となった。

5

  • TSRデータインサイト

愛媛県のいよぎんHDと愛媛銀が経営統合へ  メインバンク取引社数 金融Gでは国内21位に

愛媛県内にある企業のメインバンクシェア57.5%(県内メインバンク取引社数1万966社)の伊予銀行を傘下に持ついよぎんホールディングスと、県内2位で18.5%(同3,542社)の愛媛銀行が、7月24日開催の取締役会で経営統合を付議することを発表した。

TOPへ