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「宿泊業の倒産動向」調査 2020年(1-12月)

 2020年(1-12月)の宿泊業の倒産は、前年から1.5倍増の118件(前年比57.3%増)に急増し、2013年以来、7年ぶりに100件台に達した。このうち、新型コロナウイルス感染拡大を要因とした倒産は55件発生し、宿泊業の倒産のほぼ半数(構成比46.6%)を占めた。業種別の構成比では、新型コロナウイルス関連倒産件数トップの飲食業(同16.3%)やアパレル関連(同16.0%)を大きく上回り、最も高い。
 新型コロナ感染拡大はインバウンド観光客の入国停止、緊急事態宣言発令による外出自粛などで、人の移動を大幅に制限し宿泊業界に大打撃を与えた。政府は2020年7月、観光業界への支援で「GoToトラベル」キャンペーンを開始したが、一部の人気観光地や宿泊施設に予約が集中し、恩恵に与れなかった宿泊施設も出ていた。また、海外からの入国制限は緩和が進まず、盛り上がりを見せたインバウンド需要は消失したままだ。
 そこに2020年11月、新型コロナ感染の第三波が始まり、「GoToトラベル」キャンペーンも全国的に停止し、再び宿泊業界は苦境に追い込まれている。2020年に倒産した宿泊業者は、もともと業績低迷や債務過多に陥っていたところにコロナ禍がダメ押しとなり、経営破たんしたケースが少なくない。
 2021年に入ると1日の新規感染者数が7,000人を超え、1月7日に一都三県で再び緊急事態宣言が発令された。コロナ禍の出口が見えないなか、政府の支援金や金融機関の緊急融資制度などで資金繰りを支えられてきた宿泊業者が、緊急事態宣言の再発令で息切れする可能性も危惧される。
 限られた地域と設備による装置産業の宿泊業は、業績が戻るには相当の時間を要する。地域を巻き込んだ集客策と同時に、事業継続や事業転換に向けた弾力的な支援も必要になっている。

宿泊業倒産118件、7年ぶりの100件台

 2020年(1-12月)の「宿泊業」倒産は118件(前年比57.3%増)にのぼり、前年比1.5倍増となった。2013年(118件)以来、7年ぶりに100件台に達した。
 直近10年間の宿泊業の倒産は、東日本大震災が発生した2011年(134件)が最多で、2020年は2013年と並んで2番目に多い水準となった。
 負債総額は580億1,200万円(前年比54.0%減)で、2年ぶりに前年を下回った。前年に400億円台の倒産が2件発生した反動減となった。

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原因別 「不況型倒産」が101件で、約9割を占める

 原因別では、「販売不振」が79件(前年比61.2%増)で最多。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が22件(同22.2%増)、代表者の死亡など偶発的原因による「その他」が6件(同200.0%増)で続く。
 『不況型倒産』(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は101件で、構成比は約9割(85.5%)を占めた。団体旅行を含む国内旅行者の減少により業績が低迷していた宿泊業者は、インバウンド需要による業績回復に期待を寄せていた。しかし、コロナ禍によってインバウンド需要が消失したため、先行きの見通しが立たず事業継続を断念した事業者が続出した。

負債額別 5億円以上が約3割

 負債額別では、5億円以上の構成比が29.6%で、前年(22.6%)より7.0ポイント上昇した。内訳は、5億円以上10億円未満が18件(前年比125.0%増、構成比15.2%)、10億円以上が17件(同88.8%増、同14.4%)だった。
 一方、1億円未満の構成比は27.1%で、前年(37.3%)より10.2ポイント低下した。内訳は、1千万円以上5千万円未満が22件(前年比37.5%増、構成比18.6%)、5千万円以上1億円未満が10件(同16.6%減、同8.4%)。
 このほか、1億円以上5億円未満が51件(同70.0%増、同43.2%)で最多を占める。
 中堅規模以上の倒産が増加する様相をみせた。

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新型コロナ関連倒産の割合 業種別で宿泊業が最大、半分を占める

 2020年の業種別倒産件数のうち、「新型コロナ関連倒産」が占める構成比は、「宿泊業」が46.6%で最も高かった。2位の道路貨物運送業(構成比34.4%)に12.2ポイントの差をつけた。新型コロナ関連倒産件数が最多の「飲食業」(138件、構成比16.3%)や「アパレル関連(製造・販売)」(76件、同16.0%)、旅行業や冠婚葬祭業を含む「その他の生活関連サービス業」(19件、同21.3%)を上回り、唯一40%台に達した。
 コロナ禍で宿泊業が受けた影響の強さを映し出している。

  • ※業種分類別に2020年の倒産全体に占める新型コロナ関連倒産の件数構成比を算出、全体の倒産件数が20件以上の業種を抽出、比較した。

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資本金別 1千万円未満が約5割

 資本金別では、1千万円以上5千万円未満が50件(前年比38.8%増、構成比42.3%)で、倒産全体の4割を占めたものの、構成比は前年(48.0%)より5.7ポイント低下した。
 一方で、1千万円未満は54件(前年比100.0%増、構成比45.7%)で、前年(27件)より2倍増となった。内訳は、1百万円以上5百万円未満28件(同55.5%増、同23.7%)、5百万円以上1千万円未満13件(同116.6%増、同11.0%)、個人企業他9件(同350.0%増、同7.6%)、1百万円未満が4件(同300.0%増、同3.3%)だった。
 5千万円以上1億円未満は12件(同20.0%増、同10.1%)、1億円以上は前年同数の2件だった。

従業員数別 5人未満が半分を占める

 従業員数別では、5人未満が59件(前年比59.4%増、前年37件)で最多だった。倒産に占める構成比は50.0%で半分を占めた。
 一方、50人以上300人未満が6件(同500.0%増、同1件)発生し、中堅規模への倒産の広がりをみせた。
 300人以上はゼロで2012年以降、8年連続で発生していない。

地区別 9地区全てで発生

 地区別では、9地区全てで倒産が発生した。最多は中部31件で、関東24件、近畿21件、東北15件、九州11件、中国7件、北陸5件、北海道3件、四国1件の順。
 前年比では、9地区中6地区で増加した。近畿が200.0%増と3倍増で最も増加率が高く、中部106.6%増、九州83.3%増、北陸66.6%増、関東41.1%増が続く。
 一方、減少は東北の11.7%減のみ。北海道と中国は前年同数。

都道府県別 39都道府県で発生

 都道府県別では、39都道府県で発生した。長野12件が最多で、東京11件、静岡9件、三重、京都、福島が各5件、大阪、兵庫、奈良、新潟が各4件で続く。
 件数が5件以上のうち、前年比は京都400.0%増(1→5件)、長野300.0%増(3→12件)、東京83.3%増(6→11件)と、3都府県で際立った。
 国内外からの訪客が多数にのぼる京都や東京、温泉地やスキー場など多数の観光地を抱える長野でコロナ禍の影響が大きかったことを映し出している。

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