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2020年飲食業倒産、年間最多の842件発生

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、1月7日にも首都圏の1都3県を対象に、1カ月の実施期間で緊急事態宣言が発令される。実施期間中は、飲食店に酒類の提供を午後7時まで、営業時間を午後8時までに短縮するよう要請するほか、午後8時以降の不要不急の外出の自粛を求めている。
 コロナ禍で多くの会社や個人が「忘・新年会」などを控え、飲食店は年末年始の書き入れ時の売上が消失した。そこに再度の緊急事態宣言の発令は、当該地域の飲食店の経営に大きな打撃を与えかねない。
 2020年(1-12月)の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は842件(前年比5.3%増)で、年間最多だった2011年の800件を上回り、過去最多を記録した。このうち、緊急事態宣言の対象となる1都3県では212件(前年比3.9%増、前年204件)にのぼり、2年連続で前年を上回った。
 新型コロナ感染拡大で、休業や時短営業を余儀なくされた「酒場,ビヤホール(居酒屋)」は174件(前年137件)と急増し、これまで最多の2012年(141件)を大きく上回った。このほか、インバウンド需要消失や外出自粛、在宅勤務の影響が広がり、「すし店」(20→32件、前年比60.0%増)、「そば・うどん店」(13→19件、同46.1%増)なども増加が際立った。
 飲食業は新規参入の障壁が低く、自治体や金融機関による積極的な創業支援もあって過小資本での創業や事業計画が甘い企業も多い。さらに、2019年後半から深刻な人手不足で人件費が上昇し、収益環境は厳しい状況が続いていた。
 そこに2020年2月、新型コロナ感染拡大で4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発令され、16日には全国に拡大した。休業や時短営業の要請で飲食業を取り巻く環境は悪化した。その後、国や自治体、金融機関による資金繰り支援や10月以降の「GoToイートキャンペーン」もあり、9月以降の倒産件数は減少に転じていた。だが、年末年始の売上落ち込みに加え、地域限定だが今回の緊急事態宣言の発令で、小・零細企業の多い飲食業は、倒産や廃業が加速する可能性が出てきた。

本調査は、日本産業分類の「飲食業」(「食堂,レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「酒場,ビヤホール」「バー, キャバレー,ナイトクラブ」「喫茶店」「その他の飲食店」「持ち帰り飲食サービス業」「宅配飲食サービス業」)の2020年1-12月の倒産を集計、分析した。

飲食業倒産年間推移

業種別 「酒場,ビヤホール(居酒屋)」が過去最多を更新

 業種別では、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼き肉店などの「専門料理店」が201件(前年比4.6%増)で最多。以下、「食堂,レストラン」194件(同14.5%減)、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」174件(同27.0%増)と続く。
 増加率では、最高が「すし店」の前年比60.0%増(20→32件)。次いで、「そば・うどん店」の同46.1%増、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」の同27.0%増と続く。在宅勤務などによる外食需要の低迷や、感染リスクへの意識の高まりで会食や接待需要が減少し、幅広い業態・価格帯の飲食店が影響を受けていることが浮き彫りになった。
 特に、コロナ禍で自治体から休業や時短営業の要請を受けた「酒場,ビヤホール(居酒屋)」は174件で、過去最多だった2012年の141件を大きく上回った。

業種別

原因別 「販売不振」が717件で、8割を超える

 原因別は、最多が「販売不振」の717件(前年比7.4%増)。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」36件(同28.5%増)、「事業上の失敗」32件(同15.7%減)と続く。
 『不況型倒産』(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は753件で、構成比は約9割(89.4%)に達した。感染状況の悪化による自治体などの時短営業要請に加え、書き入れ時の忘・新年会の自粛による売上消失で、経営基盤が脆弱な小・零細企業を中心に増加が懸念される。

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