【取材の周辺】典型的“ハコ企業”(株)Nuts、流転の末に破産
9月16日、ジャスダック上場の(株)Nuts(TSR企業コード:350565198)が破産開始決定を受けた。5月の(株)レナウン(TSR企業コード:295833440)に続き、今年2社目の上場企業の破たんとなった。
数年前から危機的な状況が続き、死に体の“ハコ企業”だったが、増資で上場を維持し、株主や事業内容は目まぐるしく変わった。
破産のプレスリリースは午後9時30分。異例の遅い時間だった。真っ先に事実を把握した東京商工リサーチ情報部に取引先やマスコミから問い合わせも少なく、寂しい倒産劇となった。
Nutsは1977年に三高産業(株)として設立された。当初は建築、包装資材などに利用される塩化ビニール製品販売が中心だった。その後、1980年代にビデオレンタル事業に乗り出し、ファミコンブームにも乗り、ゲームソフト販売の「トップボーイ」を出店。これが大当たりして全国に100店舗以上をチェーン展開した。1998年に社名を(株)トップボーイに変更、1999年に店頭公開(現ジャスダック上場)を果たした。
上場後はゲーム事業の成長が翳りを見せ、インターネットカフェやパチンコ・パチスロ関連事業など、アミューズメント分野に活路を求めた。2003年には(株)コモンウェルス・エンターテインメントに社名を変更した。
だが、いずれの事業も実を結ばず、泣かず飛ばず。売上減と赤字が続き、事業継続に疑義のあるGC注記銘柄の常連となった。この間、債務超過を回避するため増資を繰り返し、株主や経営陣も変遷、実態が見え辛くなった。
2016年に社名を現在のNutsに変更し、2017年には医療施設向けコンサルティングを事業の柱に据え、再度の業態転換をした。
だが、2019年3月期の連結売上高は1億2128万円。ピーク時の約70分の1にとどまった。驚くのは、同期に売上を上回る1億7600万円の役員報酬、接待交際費も1億3500万円など、販管費だけで10億円を超す経費を計上し、多額の損失を計上した。
2020年に入ると様々なトラブルが表面化した。2月に証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反の疑いで強制調査。4月には会計監査人が期末の帳簿上の現金残高8億900万円が、実際は50万円しかなく、一部の売上計上にも疑義を指摘した。
9月には監査報酬が支払えず、会計監査人から契約を解除される前代未聞の事態も発生。有価証券報告書の提出見込みも立たなかった。
増資を重ねたNutsの資本金は破産時で約51億円。売上高の42倍だ。自己資本比率は60%を超える(2019年3月期時点)が、これを額面通りに受け取る人はいない。
破産後に公表された外部調査委員会の報告書は、「(当社が)体をなしていなかった企業統治体制と機能不全に陥った杜撰な内部体制」と断罪している。上場企業を舞台にした不可解な増資や業態転換。マネーゲームに翻弄された企業は、すでに市場で生き残る価値を見失っていたのかも知れない。

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