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国内銀行79行「平均年間給与」調査(2020年3月期決算)

 国内銀行79行の2020年3月期の平均年間給与(基本給与+賞与・基準外賃金、以下、平均給与)は608万8,000円(中央値612万7,000円)だった。前年同期の608万9,000円(同613万5,000円)から1,000円(0.01%)減少し、2018年3月期以来、2年ぶりに前年同期を下回った。
 業態別では、大手行(762万5,000円、前年同期比2万8,000円増)と地方銀行(621万4,000円、同1万1,000円増)で平均給与が上昇し、第二地銀(550万8,000円、同2万9,000円減)は前年実績を下回った。
 平均給与トップは、2年連続で東京スター銀行(832万1,000円)。2位は三井住友銀行(828万6,000円)、3位はあおぞら銀行(793万円)で、上位7位まで前年順位と変化はなかった。
 9位の七十七銀行は703万9,000円(前年同期697万2,000円)で、前年11位から2ランクアップ。
 79行のうち、平均給与の増加は42行(構成比53.1%)で、前年同期の43行を1行下回った。
 銀行は低金利競争で収益環境が厳しいなか、フィンテックやAIの浸透で従来のビジネスモデルが変化し、人員抑制を進めている。一方、新型コロナ感染拡大や豪雨などの自然災害や中小企業の経営支援などで存在感は高まっており、対応力に応じた給与格差はさらに広がるとみられる。

  • 本調査は国内銀行の2020年3月期の有価証券報告書(2020年7月29日までに提出)で、従業員数、平均年間給与、平均年齢が判明した79行(大手行6行、地方銀行47行、第二地銀26行)を対象に集計、分析した。

平均給与 42行が増加

 国内銀行79行の2020年3月期の平均給与は608万8,000円で、前年同期から1,000円(0.01%)減少した。中央値は612万7,000円で、前年同期(613万5,000円)から8,000円減少した。
 平均給与が増加したのは、大手行6行のうち4行(前年同期3行)、地方銀行47行のうち25行(同22行)、第二地銀26行のうち13行(同18行)の合計42行(構成比53.1%、前年同期43行)。
 79行の平均給与は、2007年3月期の650万8,000円(中央値657万円)をピークに減少をたどり、ようやく2013年3月期に6年ぶりに増加に転じた。しかし、2016年2月に日本銀行がマイナス金利を導入すると、低金利競争で収益環境が厳しくなり、2020年3月期は2年ぶりに減少した。
 業態別は、大手行が762万5,000円(前年同期比2万8,000円増)で2年連続、地方銀行が621万4,000円(同1万1,000円増)で4年ぶりに、それぞれ増加した。第二地銀は550万8,000円(同2万9,000円減)で、減少した。
 大手行との差は、地方銀行が141万1,000円(前年同期139万4,000円)、第二地銀が211万7,000円(同206万円)と、平均給与の差が拡大した。また、地方銀行と第二地銀の差額は、70万6,000円(同66万6,000円)で、ここでも差が広がった。

業態別 平均年間給与

行員数 減少数が過去最大を記録

 79行の行員数合計は21万4,105人で、前年同期の21万9,984人から5,879人減少した。2018年3月期以降、減少が続き、減少数は前年同期の3,600人減を超え、過去最大を更新した。
 業態別は、大手行10万1,899人(前年同期比3,225人減)、地方銀行8万9,295人(同2,109人減)、第二地銀2万2,911人(同545人減)と、全業態で行員数が減少した。
 減少は、大手行5行(前年同期5行)、地方銀行44行(同35行)、第二地銀23行(同20行)の合計72行(同60行)。

業態別 行員数

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