• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2020年都道府県別「赤字法人率」調査 赤字法人率66.1%、8年連続で改善

 国税庁が2020年3月19日に公表した「国税庁統計法人税表」(2018年度)によると、赤字法人(欠損法人)は181万6,508社だった。全国の普通法人274万7,492社のうち、赤字法人率は66.1%(前年度66.6%)で、前年度より0.5ポイント改善した。赤字法人率は、2011年から8年連続で改善しており、調査を開始した2005年以降では最低となった。
都道府県別で、全国平均(66.1%)を上回ったのは23都府県で、前年度(18都府県)から5県増加した。赤字法人率が最も高かったのは、徳島県で73.7%(前年度73.6%)。2007年度以降、12年連続となった。一方、最も低かったのは3年連続で沖縄県。赤字法人率59.7%(同59.6%)で、2年連続で唯一60.0%を下回っている。
産業別で、赤字法人率が最も高かったのは小売業の74.7%(同74.5%)。以下、金融・保険業69.5%(同69.1%)、サービス業他68.5%(同68.6%)と続く。赤字法人率の上昇は、10産業中4産業で、農・林・漁・鉱業は67.4%(同64.8%)と2.5ポイント上昇した。
インバウンド需要の増加、オリンピック特需の恩恵を受けた建設投資など、前年度に引き続き、建設業や製造業で赤字法人率の改善が進んだ。赤字法人率の改善は、34都道府県(前年度44都道府県)に減少し、2018年度は東北・九州を中心に、地方で赤字法人率が悪化した。

  • ※赤字法人率は、普通法人を対象に赤字(欠損)法人数÷普通申告法人数×100で算出した。
  • ※普通法人は会社等(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、特定目的会社、相互会社)、企業組合、医療法人などを含む。

赤字法人率66.1% 集計開始以来の「最低更新」も改善ペースは鈍化

 2018年度の全国の普通法人274万7,492社のうち、赤字法人は181万6,508社(年2回の複数納税を含む)だった。赤字法人率は66.1%で、前年度より0.54ポイント低下したが、法人数の増加に伴い赤字法人数は5,531社増加した。
リーマン・ショック後の2010年度に記録した赤字法人率75.7%をピークに、赤字法人率は8年連続で減少した。2012年度以降は6年連続で1.0ポイント以上の改善がみられていたが、2018年度は0.5ポイントの改善にとどまった。悪化した地区は、東北と九州の2地区だけだったが、全国的に赤字法人率の改善ペースは鈍化した。

都道府県別 34都道府県で赤字法人率が改善

 都道府県別では、赤字法人率が前年度より改善したのは34都道府県だった。全国の赤字法人率の66.1%を上回ったのは23都府県、下回ったのは24道府県と拮抗した。
赤字法人率が最も低かったのは、沖縄県の59.7%(前年度59.6%)で、3年連続で全国最低となった。沖縄では建設投資額に占める公共工事の割合が高く、法人数が多い建設業は公共工事受注のため赤字決算を避ける傾向が強い。また、インバウンドを含む観光業が好調なほか、人口の増加などで、赤字法人率の高い小売業やサービス業他の堅調さが赤字法人率を下押しした。
次いで、青森61.0%(同60.4%)、山形63.2%(同63.2%)、大阪63.3%(同64.6%)、岩手63.3%(同62.5%)と続く。
一方、赤字法人率が最も高かった徳島は、73.7%で12年連続。次いで、長野70.1%、香川70.0%、栃木69.3%と続き、前年と同じ順だった。徳島は飲食業や宿泊業などのサービス業他の業績低迷が続くほか、地場産業の木工関連の不況や、競合の多い医療法人・福祉関係の赤字法人数の高さが赤字法人率を引き上げたとみられる。

産業別赤字法人率、農・林・漁・鉱業で大幅悪化

 産業別の赤字法人率では、前年に続いて小売業が最高の74.7%(前年度74.5%)と70%を超え、1年ぶりに悪化した。次いで、金融・保険業69.5%(同69.1%)、サービス業他68.5%(同68.6%)。産業別の赤字法人率は、10産業中6産業で改善したが、4産業で悪化した。
最も赤字法人率が悪化したのは、農・林・漁・鉱業の2.5ポイント(64.8→67.4%)。一方、最も赤字法人率が改善したのは建設業の1.2ポイント(59.8→58.5%)だった。

19年度は消費増税、新型コロナウイルスの影響で再上昇が懸念

 2018年度の赤字法人率は、訪日客増加によるインバウンド景気、建設業でのオリンピック特需などで8年連続で改善、過去最低の66.1%を記録した。ただ、中国経済の減速や7月の西日本豪雨の影響もあって、改善ペースは全国的に鈍化した。
東北や九州では赤字法人率が上昇に転じた県もあり、地方での景気減速が懸念された。全国的には、赤字法人率は改善傾向にあっても、依然として3社に2社が赤字である状況に変わりはなく、地方経済の回復が急がれる。
また、2019年度は消費増税や年度末の新型コロナウイルス感染拡大もあり、今後、赤字法人率の再上昇も懸念されている。

赤字法人率2020

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ