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2019年「一般社団法人」の新設法人調査

 2019年(1-12月)に設立された「一般社団法人」は6,083社(前年比1.3%増)で、2年ぶりに増加した。新設法人の法人格では、「株式会社」、「合同会社」に次ぐ社数で、3番手を維持した。
公益性のイメージが根強く残る「一般社団法人」だが、2008年12月の「一般社団法人および一般財団法人に関する法律」の施行で、公益法人として監督官庁から許可が必要だった「社団法人」から、公益性が必須でなくなった「一般社団法人」が生まれた。
誰でも簡単に「一般社団法人」を設立することが可能で、事業内容に制限はなく、営利事業も禁止されていない。制限があるのは、利益や資産を分配できないだけとなっている。
任意団体の町内会や同窓会などが法人格取得のため、「一般社団法人」を設立するケースも少なくない。非営利の組織が法人格を持つことで、資産の保有や契約が可能となるためだ。
2018年度の税制改正まで株主がいない「一般社団法人」の仕組みを利用し、相続税対策などで新設法人数の増加につながっていた。このため税制改正後は、一転して設立数が減少している。
公益性のイメージが残る「一般社団法人」だけに、悪用されることもある。事件が続けば、「一般社団法人」のイメージ悪化は避けられない。日本で新設される法人格で3番目に多い「一般社団法人」が今後、広く認知されるには「公益性」のイメージからの脱却が必要かもしれない。

  • 本調査は、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(370万社)から、2019年(1-12月)に新しく設立された法人データのうち「一般社団法人」を抽出し、分析した。

新設一般社団法人2019_01

前年比推移は年々下落

 2019年に全国で設立された法人のうち、「一般社団法人」は6,083社(前年比1.3%増)で、前年から77社と微増した。前年比較では、2015年に11.4%増と2ケタの伸び率だったが、その後は伸び率が鈍化。2018年は6.0%減とマイナスに転じた。「一般社団法人」の構成比は4.6%で、横ばいが続いている。

新設一般社団法人2019_02

産業別 3産業のみ増加

 「一般社団法人」の産業別では、2019年は10産業のうち、製造業と小売業、金融・保険業の3産業を除く7産業で減少した。
社数は、サービス業他が4,795社(構成比78.8%)で約8割を占めた。次いで、金融・保険業517社(同8.5%)、情報通信業が386社(同6.3%)、不動産業が202社(同3.3%)の順。
増加率トップは、金融・保険業が前年比42.4%増と急増。一方、下落率は農・林・漁・鉱業の同55.8%減が最大だった。

新設一般社団法人2019_03

業種別 業界団体など「他のサービス業」が最多

 業種別では、社会貢献や業界団体などの「他のサービス業」が2,690社(構成比44.2%)が最多。次いで、「学術研究,専門・技術サービス業」の1,162社(同19.1%)、医療,福祉事業の583社(同9.5%)など。
これまで任意団体だった業界団体や研究機関が法人格を得るため、「一般社団法人」を利用するケースが目立つ。一方で、2018年に大幅減だった金融,保険業が前年比42.4%増と急増した。背景には、資産流動化や不動産の信託などを目的とした設立が多かった。

都道府県別 新設法人数は東京が4割と突出

 都道府県別では、東京都の2,426社(前年比3.2%増、構成比39.8%)で最多だった。次いで、大阪府が489社(同5.4%増、同8.0%)、神奈川県が299社(同1.3%減、同4.9%)の順。
増加率は、富山県の前年比85.0%増(37社)がトップ。青森県の同80.0%増、高知県の同78.6%増の順。
減少率は、島根県が前年比35.0%減(13社)でトップ。次いで、山口県の32.1%減、秋田県の30.8%減だった。

 「一般社団法人」は、公益性を認定されると「公益社団法人」に移行できる。「公益社団法人」は、従来通り「公益性」が必須で、これまでの「社団法人」に近い。これに対し、「一般社団法人」は公益性の認定が不要で、まったく別の法人格といえるだろう。
最近も「公益性」のイメージが残る「一般社団法人」が問題の主役にのぼる報道が目立つ。
2019年8月、岩手県八幡平市のふるさと納税返礼品として産地を偽装した商品を送付したとして一般社団法人ドリームプロジェクト(TSR企業コード:014924056、法人番号:1400005007552、陸前高田市)の代表理事が逮捕された。また、同年12月、市立病院の契約を巡り医師に謝礼を送った贈賄容疑で一般社団法人医療健康資源開発研究所(TSR企業コード:300251238、法人番号:3013305002070、豊島区)の代表理事が逮捕された。
2020年6月には、支払遅延が多発しているとして介護サービスを手がける一般社団法人全国育児介護福祉協議会(TSR企業コード:342061097、法人番号:2011105004288、新宿区)に消費者庁が注意喚起を出した。また、持続化給付金の事業委託を受けた一般社団法人サービスデザイン推進協議会(TSR企業コード:018234097、法人番号:9010405014817、東京都港区)も話題にあがっている。
一般社団法人が生まれてから10年以上を経過するが、いまだに公益性のイメージが強く残る。公益性のイメージ悪用のケースもあり、再び新設法人数がマイナスに戻ることが危惧される。

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