• TSRデータインサイト

上場居酒屋チェーン 緊急事態宣言で4月売上が激減

 上場居酒屋チェーン8社が5月15日までに、2020年4月の売上を適時開示の「月次報告」やホームページの「お知らせ」などで公表した。
 新型コロナ感染拡大に伴う外出自粛や緊急事態宣言で、店舗の休業や時短営業に追い込まれ、上場居酒屋チェーン8社はそろって前年同月より大幅に売上高が落ち込んだ。

 最も全店売上が落ち込んだのは鳥貴族で、前年同月の3.8%(▲96.2%)と激減した。直営全店が4月4日~4月30日に臨時休業したことが響いた。
 次いで、ワタミ(国内外食事業)の8.1%、チムニーの9.3%、ヴィア・ホールディングスの15.2%、マルシェの15.4%、ダイナックホールディングスの16.2%、アトムの29.2%、NATTY SWANKYの39.7%と、軒並み50%以下だった。
 この他、店舗休業で前年比較が難しいなどの理由で、博多劇場を展開する一家ダイニングプロジェクト、とり鉄を展開するJFLAホールディングス、庄やを展開する大庄の3社は、「月次報告」を一時中止した。

 また、新型コロナの影響による資金借入を4社が公表した。磯丸水産を展開するSFPホールディングスは75.8億円、鳥貴族は25億円、串カツ田中ホールディングスは21億円をそれぞれ調達した。酔虎伝を展開するマルシェは、5月末までに21億円を調達する予定。


 5月14日、政府は39県の緊急事態宣言を解除したが、大手居酒屋チェーンの多くは休業の当面延長や5月末までの休業を決定しており、5月売上も厳しい状況が見込まれている。
 鳥貴族は直営全店393店舗の休業を延長していたが、5月18日に19日から大阪、京都、滋賀、兵庫、奈良、岐阜、愛知、三重、静岡に所在する直営店163店舗の営業再開を発表した。同社担当者は東京商工リサーチの取材に対して「163店舗で営業再開するものの、5月売上が4月より改善するかは分からない」と回答した。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年5月21日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ