• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連倒産状況【4月27日17:00現在】

 4月27日、「新型コロナ」関連の経営破たんが全国で累計100件(倒産70件、弁護士一任・準備中30件)に達した。24日から7件増えた。
 2月25日、最初の「新型コロナ」関連破たんとなった旅館(株)冨士見荘(愛知県、3月30日破産開始決定)の発生から、わずか2カ月余りで100件を超えた。
 「新型コロナ」関連の経営破たんは、2月が2件、3月が23件だったが、4月は27日までに75件に急増、累計100件に達した。
 都道府県別は、31都道府県に広がり、最多は東京都の24件(倒産22件、準備中2件)で、唯一、20件を突破した。次いで、北海道11件(同10件、同1件)、静岡県7件、大阪府と兵庫県が各6件、愛知県5件、宮城県、福島県、新潟県、長野県、福岡県、熊本県が各3件。
 業種別では、インバウンド消失と外出自粛の浸透で宿泊業が21件(同16件、同5件)と突出。 27日は判明した7件のうち、4件がホテル・旅館だった。次いで、外出自粛で売上が落ち込んだ飲食業が15件(同11件、同4件)、アパレル関連が10件(同4件、同6件)の順。
 また、イベント自粛や休校の煽りで学校給食用食材を扱っていた食品製造業が9件、結婚式場やパチンコホールなどの生活関連サービス,娯楽業も8件発生。この他、食品卸、機械製造卸、出版など、地域、規模、業種を問わず広がっている。
 新型コロナの感染拡大は終息が見通せず、休業要請などで小・零細企業は閉塞感を強めている。多くの中小企業は、これまで人手不足に伴う人件費の上昇、消費増税などで、厳しい収益環境が続いていた。そこに新型コロナが重なり、経営破たんにつながっている。
 ※企業倒産は、負債1,000万円以上の私的整理、法的整理を対象に、集計している。
 ※北海道で負債が約700万円の倒産が発生しているが、同1,000万円未満のため未集計。 


日本地図0427

経営破たん100件を超える

 4月27日、「新型コロナ」の影響で経営破たんした企業が累計で100件に達した。経営破たんは小中高校の一斉休校や外出自粛の広がりに伴い増加し、4月だけで経営破たんの75%を占める。
 小・零細企業、中小企業は、長引く外出自粛、休業要請などで疲弊感を強め、資金繰りは限界に近づいている。特に、ホテル・旅館はインバウンド消失、外出自粛で先行きが見通せず、負債160億円の大型倒産も発生した。政府・自治体も資金繰り支援を急ぐが、制度融資は手続きに時間がかかり、支援を求める企業に行き渡っていない。また、休業補償も自治体により金額や交付時期が異なり、当座の資金繰り支援は後手に回っている。
 大型連休明けの5月6日まで緊急事態宣言が継続し、支援は時間との勝負になってきた。 

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ