• TSRデータインサイト

新型コロナが加速させる「パチンコホールの淘汰」

 「新型コロナウイルス」感染拡大で、地域によっては休業を要請されているパチンコホールの経営が厳しさを増している。
 4月15日、東京で3店舗のパチンコ店を展開していた(株)赤玉(TSR企業コード:400217414、名古屋市)が東京地裁に破産を申請した。「アカダマ」の屋号で知られていたが、赤字を散発し債務超過に陥っていた。そこに新型コロナの感染拡大で来店数が落ち込み、都の休業要請を受けて店舗休業していた。
 パチンコホールは現在、全国で9,000店舗あるが、3年後には7,000店舗に減少するとの予測もある。射幸性の低下や受動喫煙の防止、風営法改正による来年1月までの遊技台入れ替え問題。そして、新型コロナによる休業で、店舗数の減少に拍車がかかりそうだ。


 首都圏のあるパチンコホール幹部は、「変化に対応できないホールは淘汰される」と指摘する。コロナ禍で体力のないホールが選別される、熾烈な競争がすでに始まっている。
 以前からパチンコホールは、来店客数の減少に悩まされていた。遊技台の射幸性低下に加え、趣味の多様化、今年4月の受動喫煙の防止対策も影響している。
 出玉を2/3に抑制する風営法・遊技機規則の改定で、射幸性の低下した新基準の遊技台では、機械のスペック的に利益のコントロールが難しくなっている。そのため、顧客と売上減のダブルパンチで利幅が縮小している。
 さらに、旧規則の遊技台の撤去期限が2021年1月末に迫っている。最近は遊技台の価格が高騰し、入れ替えには投資が必要だ。業績低迷の中では多額の設備投資は難しく、淘汰が進む下地が出来上がりつつある。

新型コロナで「2つの問題」が加速

 厳しい経営が続くパチンコホールに、新型コロナ感染拡大の影響が襲い掛かる。来店客数の減少に加え、緊急事態宣言後、一部地域ではパチンコ店が休業要請に含まれたからだ。
 パチンコホールの幹部は、新型コロナで「2つの問題が浮き彫りになる」と語る。
 1つ目は、店舗数の減少がこれまで以上に加速し、遅くとも来年1月までに淘汰が進むこと。2つ目は、パチンコホールに対するイメージが低下し、さらなる顧客離れを招くだろうと指摘する。
 2つの問題で業績が悪化したパチンコホールは、金融機関やリース会社の支援が難しくなり、変化に対応できないホールは倒産や廃業など、淘汰される可能性が強まっている。


 休業要請中でも営業を継続する店舗もある。モラルハザードか、生き残りをかけた必死さかわからない。だが、政府は21日、休業要請に応じないパチンコホールに施設の使用制限や停止を要請できる措置を検討していると報道されている。コロナ禍で浮き彫りになった2極化は着実に進行している。新型コロナが促す淘汰の嵐は、パチンコホールも例外ではない。

パチンコ休業画像

‌休業の案内(首都圏のパチンコホール、本文の店舗とは関係ありません)

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

政策金利引き上げ 「1年は現状維持」が59.6% すでに「上昇」が52.0%、借入金利は上昇局面に

企業の59.6%が、これ以上の政策金利の引き上げに「待った!」を希望していることがわかった。今後の望ましい政策金利の引き上げ時期は、「向こう1年は現状維持」が59.6%で最多だった。「引き下げ」も23.6%あり、企業経営の観点では利上げを望む声は少数(16.6%)にとどまった。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の12.2%が事業資金を個人名義で調達 保証債務に上乗せ負担、債務整理や廃業を複雑に

事業資金を代表者名義で調達したことのある中小企業は12.2%に達することがわかった。政府や金融界は「経営者保証ガイドライン」(適用開始2014年2月)や「事業再生ガイドライン」(同2022年4月)などを通じ、企業が抱える債務を整理する際に個人保証が足かせにならないよう取り組んでいる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年「早期・希望退職募集」は 1万7,875人 、リーマン・ショック以降で3番目の高水準に

2025年の「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は43社(前年57社)で、募集人数は1万7,875人(同78.5%増)に達したことがわかった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年7-9月の客室単価 1万6,975円 稼働率80%超え 人手不足の解消が課題

ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年7-9月期の平均客室単価は、1万6,975円(前年同期比8.9%増)で前年同期を上回った。7-9月期で、13ブランドの平均が前年を上回るのは3年連続。平均稼働率は83.9%で前年同期を2.9ポイント上回り、 稼働率も3年連続で上昇している。

5

  • TSRデータインサイト

【最新決算】 私立大学、半数以上が赤字に転落 売上高トップは順天堂、利益トップは帝京大学

全国の私立大学を経営する545法人のうち、半数を超える287法人が直近の2025年3月期決算で赤字だったことがわかった。