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152年の歴史に幕 歌舞伎座前の弁当屋「木挽町辨松」が廃業へ

 東京・東銀座。「歌舞伎座前の弁当屋」として有名だった弁当製造、(株)木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)(TSR企業コード:291517641、東京都中央区)が4月20日、152年の歴史に幕を下ろす。
 木挽町辨松は、作家の池波正太郎のエッセイ『日曜日の万年筆』や俳人の久保田万太郎の作品にも出てくる老舗だ。歌舞伎座や新橋演舞場などの役者さんや観劇用弁当として愛され続け、一時は歌舞伎座前の本店のほか、中目黒店など7店舗を展開していた。
 猪飼信夫社長は、「(出店していた)東急東横店が3月末に閉店し、新店舗への移転も考えたが投資負担が重く、去年の夏ごろから廃業を考えていた」と語る。
 廃業を惜しんだ関係者が「木挽町辨松」の暖簾を守るため、譲渡先探しに動いた。「良いところまで進んだが、新型コロナの影響で譲渡が難しくなった。これで廃業を決断した」と猪飼社長は寂し気な顔で語った。
 歌舞伎座前の本店も新型コロナ感染拡大の影響が直撃し、「歌舞伎座や新橋演舞場の休演で売上が落ち込んだ」(猪飼社長)。廃業決断には、いくつもの要因が重なった。東急東横店の閉店に加え、端午の節句や成人式などの節目に利用してくれたお客も減っていた。さらに、設備の老朽化や後継者難もあった。そこに新型コロナがとどめを刺した。

木挽町辨松の歌舞伎座前の店舗(4月2日撮影)

木挽町辨松の歌舞伎座前の店舗(4月2日撮影)

 猪飼社長は、「コロナで辞めたとは言いたくない。だが、歌舞伎座も新橋演舞場も休演で、電車に乗ってまでお店に買いに来るのは難しい。コロナでお客様にお別れができないのが残念。コロナを恨みます」と語った。
 製造設備が老朽化し、弁当販売員は「その日の朝にならないと入荷がわからないこともあった」と語るが、廃業を惜しむ声も多い。由緒ある弁当屋さんを新型コロナが奪った。様々な人を幸せにした想い出が、また一つ消えていく。

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