• TSRデータインサイト

自動車メーカー主要7社「国内取引状況」調査

 「新型コロナウイルス」感染拡大の影響が、裾野が広い自動車メーカーにも波及している。
マツダは3月24日、感染拡大に伴う部品調達や海外での販売低迷を受け、生産調整を明らかにした。広島と山口の国内2工場を一時的に停止する。トヨタも23日、国内5工場、7ラインを4月3日から一定期間の稼働停止を発表している。
トヨタは3月19日、愛知県内の工場の従業員が新型コロナの陽性反応が出たほか、24日には子会社のトヨタ自動車九州で従業員の感染が判明し、勤務していた生産ラインを停止した。
東京商工リサーチ(TSR)は、主要自動車メーカー7社(単体ベース)と直接取引している1次取引先と間接取引の2次取引先の社数、従業員数、売上高を緊急調査した。
主要7社の1次、2次の取引先総数は2万6,937社(重複除く)に及び、従業員合計は946万2,788人、売上高合計は756兆9,917億円と、巨大産業の片りんが覗く。それだけに新型コロナの感染拡大は、自動車メーカーでは工場の操業停止、減産など直接的な影響だけでなく、販売網など数多くの取引先にも間接的な影響が及ぶ。
※ 本調査はTSRの企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、自動車メーカー主要7社(単体)の仕入先、 販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分類して抽出し、分析した。※ 1次取引先は、直接取引のある取引先。2次取引先は、1次取引先と直接取引がある間接取引企業を示す。
※ 自動車メーカー7社は、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、スズキ、マツダ、三菱自動車工業、SUBARU。


◇ ◇ ◇
今回、工場の一時停止を発表したマツダの1次仕入先は796社で、従業員数は33万1,837人。2次仕入先は3,264社で、従業員数は263万7,629人に広がる。一時的とはいえ、工場の操業停止は工場周辺の下請け企業に加え、地域への様々な企業にも影響が及ぶ。
また、工場の操業停止にとどまらず、「新型コロナ」の収束まで時間が長引くと、その影響は販売部門、修理等のサービス部門など多方面に拡大する。「新型コロナ」感染は世界的に広がり、国内だけでなく海外への影響を含めた考慮も必要で、当面、自動車メーカーの動向から目が離せない。

自動車メーカー主要7社国内取引状況調査

自動車メーカー主要7社国内取引状況調査

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2024年度「他都道府県への本社移転」 1万6,271社 TSMC効果?九州が転入超過トップ、県別トップは埼玉県

2024年度に他都道府県に本社・本社機能を移転した企業は1万6,271社(前年度比18.7%増)で、前年度から大きく増加した。コロナ禍からの人流回復や需要変化に合わせ、本社移転の動きが活発化している。

2

  • TSRデータインサイト

創光科学の「破産開始決定」が取消しに ~上場子会社、複雑に絡まり合う利害関係 ~

東証プライム上場の医療機器メーカー、日機装(株)(渋谷区)は5月15日、連結子会社の創光科学(株)(渋谷区)の破産開始決定の取消しに関する経過を開示した。 破産手続きを巡り、2年にわたる親会社VS創業者の異例の抗告合戦へと発展した事件は、最高裁の判断でようやく決着した。

3

  • TSRデータインサイト

警備業界は大手2社の寡占化が進む 人手不足で倒産・休廃業が過去最多

全国の主な警備会社828社の2024年の業績は、売上高が1兆9,180億円(前年比2.6%増)、最終利益は1,604億円(同15.6%増)と、堅調に推移している。 業界市場は拡大しているが、大手の寡占化が進み、中小・零細事業者は人手不足でコストが上昇し、経営環境は厳しさを増している。

4

  • TSRデータインサイト

「雇調金」不正受給 倒産率は平均の約31倍 不正公表1,699件、サービス業他が45%

全国の労働局が4月30日までに公表した「雇用調整助成金」(以下、雇調金)等の不正受給件数は、2020年4月からの累計が1,699件に達した。不正受給総額は551億6,918万円にのぼる。

5

  • TSRデータインサイト

マレリにマザーサンが買収提案、私的整理の協議の行方は ~ 「マザーサンの提案は選択肢の一つ」 ~

自動車部品大手のマレリホールディングス(株)は5月26日、私的整理を協議するために都内で集会を開催した。 集会後、マレリHDの関係者が東京商工リサーチの取材に応じ「マザーサンの買収提案は選択肢の一つだ。それしかないような報道がなされているが、一択ではない」とコメントした。

TOPへ