• TSRデータインサイト

民事再生の玉屋、「昭和59年頃から粉飾」

 1月6日に負債60億2,675万円を抱えて松江地裁に民事再生法の適用を申請した(株)玉屋(TSR企業コード:760021864、松江市)が、35年にわたり粉飾決算に手を染めていたことが東京商工リサーチ(TSR)の取材でわかった。

 玉屋は1953年に紙製品卸として設立された。その後、家具や事務機販売、パチンコ店経営など手広く事業を展開し、ピークの1995年6月期の売上高は114億3,405万円(公表値)を計上していた。ただ、1982年以降に1店舗あたり数億円を投じて開業したパチンコ店はいずれも不採算だった。

 今回、TSRが独自入手した玉屋の「再生手続開始申立書」には、「昭和59年頃から減価償却費を一部しか計上していないのに、金融機関に提出する決算書ではフル償却していた」と記載されている。また、金融機関に決算書を提出する際、子会社への貸付の簿外化や提出先の金融機関以外からの借入金を実態より少なく計上するなどの手口を用いていた。
 一方、税務申告用の決算書では、金融機関からの借入を実態通りに記載した上で、架空の棚卸資産などを計上していたという。
 その後、一部の金融機関で粉飾決算が発覚し、2019年末以降、断続的にバンクミーティングを開催していた。そのなかで私的整理も検討されたが、金融機関の中から「粉飾を看過できない」などの厳しい意見が噴出したため、法的整理を決断した。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年1月9日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ