特別情報セミナー「与信担当者が知っておきたい反社対策」を開催
東京商工リサーチ(TSR)は12月19日、「特別情報セミナー「反社リスクに備える・与信担当者が知っておきたい反社対策」をTSR本社セミナールーム(千代田区大手町)で開催した。
講師は、齋藤理英弁護士(齋藤綜合法律事務所代表)が務めた。齋藤弁護士は、東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会副委員長、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員などを歴任後、2019年に東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長に就任。講演や執筆実績も多く、暴力団対策法に精通するスペシャリストとして知られている。
今回の特別情報セミナーには、大手企業の法務・審査担当者を中心に、幅広い業種から約40名の参加があり、熱心に講演に聴き入った。
齋藤弁護士は、2007年に法務省より公表された「企業暴排指針」に触れ、「これまでは不当要求など相手の“行為”に着目していれば良かったが、指針以降は“属性”が重要になった。これは大きなパラダイムシフトだ。誰が反社会的勢力(反社)にあたるのか、企業がそれぞれ考え、立証まで負担しないといけない」と、反社リスクの捉え方が以前よりも大きく変化している点を強調した。
2010年以降の各自治体での暴力団排除条例の制定による社会的な取り組み強化で、暴力団構成員・準構成員数ともに大きく減少している。一方で、いわゆる「半グレ」の活動が活発化しているとの報道もある。この点について齋藤弁護士は、「半グレは定義が曖昧だが、新たな反社会的勢力と評価して差し支えなく、準暴力団や(暴力団)偽装離脱者などを含む概念だ。半グレの実態は半分どころか全部グレている」との認識を示した。
実務面では、①排除すべき反社との取引を定義、②反社の把握、③反社との関係遮断、④反社の立証を仕組み化し、内部統制に位置付けることが必要になる。排除すべき取引を定義する上では、排除する・しない場合の影響をそれぞれ検討する「リスクベースアプローチ」の考え方が重要だという。反社の把握では、自社データベースの構築やインターネットでの過去記事の検索、業界データベースの活用、警察への照会などの方法がある。
ただ、暴排条項などで定められることが多い、いわゆる「元暴5年条項」については、「(元構成員などの)社会復帰を阻害している側面があり、半グレを生み出している可能性がある。元暴5年条項は、弾力的に運用することが望ましい」との見解を示した。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年12月23日号掲載予定「WeeklyTopcs」を再編集)
本セミナーは、「特別情報セミナー」会員が優先的にご参加いただけます。セミナーは、TSR本社で年4回前後開催しております。会員へのご登録(有料)は、弊社営業担当までお気軽にお問い合わせください。