• TSRデータインサイト

大塚家具、ヤマダ電機の子会社へ 大塚社長と山田会長が会見

 経営不振が続く(株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、江東区、大塚久美子社長)は12月12日、(株)ヤマダ電機(TSR企業コード:270114270、群馬県高崎市、三嶋恒夫社長)との資本提携を発表した。
 ヤマダ電機は、最大で65億6,300万円の増資を引き受け、議決権ベースで51.74%を確保し、大塚家具を連結子会社化する。


 同日、17時から都内でヤマダ電機の山田昇会長と大塚久美子社長が会見した。今年2月15日に両社は業務提携を発表している。ヤマダ電機の山田会長は、「(ヤマダ電機は)結果主義。チャンスを与え、達成のために全力で支援していく」とコメント。大塚社長は、「暮らしをトータルに提案していきたい」と吹っ切れたような笑顔で資本提携の抱負を語った。大塚社長は代表取締役社長を続投し、「大塚家具」の社名も変更しないという。
 大塚家具は12月12日、2020年4月期(単体、変則決算)の業績予想を「黒字」から「未定」に下方修正した。最終損益は4期連続の赤字転落の見通し。

枯渇(こかつ)寸前だった資金繰り

 大塚家具は2015年12月末に約110億円あった現預金が、赤字などで減少が止まらず、このままでは2020年3月に現金が足りなくなる状況だった。今年8月には、クレジットカード会社向け売掛債権を流動化して8億円を調達するなど、余裕のない資金繰りが続いていた。
 信用低下で銀行借入や公募増資などの資金調達が難しいことから独自での経営再建を断念。ヤマダ電機の第三者割当増資引き受けと子会社化で再建に取り組むことを選択した。

営業黒字化の道筋

 大塚社長は、創業者で実父の大塚勝久氏に事前に今回の提携を「伝えていた」と語る。
山田会長は、営業黒字化について「家具と家電は親和性が高い」としたうえで、「大塚家具は粗利益が高い。信用不安がなくなれば、回復する」と自信をみせた。
 大塚社長は、「構造改革は一巡した。会社の体力が弱っていたが、(今回の提携で)安心して利用いただける。売上をきちんと増やせれば黒字化できる」と自信を覗かせた。


 父娘で繰り広げた「お家騒動」から4年。大塚家具はヤマダ電機への傘下入りを選んだ。山田会長は、大塚家具に投じる約40億円の資金回収について、「3年ぐらいあれば」とメドを語った。大塚家具が売上減に歯止めがかからず、4年連続赤字で失墜した信頼回復は容易でない。両社のトップが語る「家電」と「家具」のコラボで経営を再建できるのか。その答えは、数年後にははっきりする。

握手する山田会長と大塚社長(12月12日)

‌握手する山田会長と大塚社長(12月12日)


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年12月16日号掲載予定「WeeklyTopcs」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ