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【破綻の構図】民事再生の(株)タケヤ、業績低迷で大型商業施設への出店が経営の足かせに

 首都圏を中心に靴専門店「CROCEED」、「Take5」などを運営していた(株)タケヤ(TSR企業コード:330033263、東京都立川市、岸澤陽一郎社長)が8月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し9月4日、開始決定を受けた。負債総額は36億9,100万円だった。
 業歴87年の老舗で、戦後はチェーン店化を促進。1994年に改正された大規模小売店舗法が2000年に廃止され、大型商業施設が各地に建設されると出店攻勢を加速し、一時は150店舗を超えていた。
 2015年頃から多様化する消費者ニーズに対応できず、売上は減少を辿り、店舗の多くが赤字に転落。その後は、不採算店舗を撤退し、2017年以降、金融機関にリスケを要請し経営再建を進めていた。だが、再建の柱と期待したスポンサー企業との最終的な交渉が合意には至らず、万策尽きた。


 タケヤは、戦前の1932年に靴職人だった現社長の祖父、岸澤竹次郎氏が創業。当初は小さな個人商店で注文靴の製造販売が主体だった。その後、1940年代に靴販売をメインに、製造や修理も手掛ける小売店へと変貌し、1968年以降は関西や九州にも進出。本格的に靴小売専門店としてチェーン展開を進めた。
 店舗網を拡大するなか、屋号を「タケヤ」から「サンシューズ」に変更した。また、ファミリー層を対象とした「テイクワン」、カジュアル志向の若年層向けの「Take5」など、購入者層にあわせた業態の店舗を展開し、多い時で10以上の業態を抱えていた。

規模の拡大とともに商業施設へも出店

 業態が増加するなかで、店舗数も1991年に100店舗、2013年には150店舗を超えた。積極的な店舗展開を推し進め、路面店だけではなく大型商業施設や商業ビル、百貨店などにもテナントとして出店した。
 特に、商業施設はもともと購買意欲の高い顧客が集まり、集客力が期待できる。さらに、各地で知名度のある施設に店舗を構えることで、消費者だけでなく商業施設からの認知度、信頼度も高められた。こうして出店実績を積み重ね、商業施設への出店がさらに容易になっていった。
 タケヤにとって、大型商業施設への出店は魅力的だった。出店攻勢の勢いに乗り売上は順調に伸び、1998年2月期の売上高は過去最高の130億3,300万円をあげていた。

商業施設への出店が経営の足かせに

 当初、タケヤにとって商業施設などへの積極的な出店は、敷金や保証金、改装費などの費用を負担しても、余りあるほどの旨味があった。
 だが、1998年2月期以降の業績は一進一退を繰り返すようになる。その後、減収をたどると出店に伴う敷金や保証金、撤退時の償却負担が重くのしかかるようになった。
 そして、2015年以降は婦人靴の販売が苦戦し、赤字に陥る店舗が増え始めた。
 タケヤは、積極的な出店から一転、新規出店を控えて不採算店の閉鎖に転換せざるを得なかった。2016年1月期の売上高は82億8,000万円まで落ち込み、1億6,600万円の赤字に転落。さらに、2018年1月期は売上高が73億2,271万円に落ち込み、9,517万円の赤字で債務超過に陥った。

タケヤの売上推移

店舗拡大に潜む落とし穴

 商業施設にとってもテナントの売上の向上は大命題で、業績が振るわない店舗には内装の刷新など大幅なテコ入れが避けられない。
 タケヤも店舗の改装後、業績の悪化からさらなる刷新を迫られ、業態を変更するケースもあった。それでも業況が好転しない場合、商業施設からの撤退を避けられなかった。店舗撤退に伴う損失計上が重なり、2019年1月期は店舗閉鎖損失1億1,557万円を計上、業績に大きな影響を与えた。
 商業施設への出店が、状況によっては進むも地獄、退くも地獄となった。タケヤはこれまで累計600店以上の新規出店や業態変更を繰り返してきたが、業績悪化で店舗数は民事再生の申請時点で96店舗まで縮小した。
 タケヤは、経営再建のため経営コンサルタントを入れ、金融機関に返済猶予を要請した。しかし、売上の低迷に歯止めが掛からず、2019年10月に資金ショートする可能性があり、法的手続きによる再建の道を選択することとなった。現在はスポンサーへの事業譲渡を含めた交渉が続いているが、自主再建の可能性も残されており、再生に向けた早期決定が待たれる。


 タケヤは業態ごとに細かくターゲッティングし、幅広い年齢層の顧客を取り込む戦略を整えていた。しかし、消費者ニーズの多様化で他社との差別化が図れなくなった。オリジナルブランドも立ち上げたが、会社を支えるブランドに成長させるまでには至らなかった。
 靴は生活に欠かせない消費財の一つだ。しかし、ネット通販の急拡大などで販売チャネルが多様化し、消費者ニーズに向き合うべく商品の見直しは避けられない。
 企業にとって売上拡大は必要だが、絶対条件ではない。「収益」が伴わない成長企業の破綻劇は、幾度となく繰り返されてきた。確固たる経営基盤を築くには、成長の裏側では常に消費者や市場の動向についての緻密な分析、そして臨機応変な経営が求められる。

タケヤの店舗(神奈川県内、8月30日撮影)

‌タケヤの店舗(神奈川県内、8月30日撮影)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年10月25日号掲載予定「破綻の構図」を再編集)

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