• TSRデータインサイト

テックビューロ、仮想通貨交換業の登録業者では初の廃業へ

テックビューロ(株)(TSR企業コード:576983667、大阪府)は8月22日、仮想通貨交換業を廃業すると発表した。金融庁によると、仮想通貨交換業の登録業者が登録を返上、廃業するのは初めてのケース。
テックビューロは仮想通貨取引所「Zaif(ザイフ)」を運営していたが、昨年9月14日にハッキングで70億円の仮想通貨の流出が発覚。金融庁から異例の3度の業務改善命令を受けていた。このため昨年11月22日、ジャスダック上場の(株)フィスコ(TSR企業コード:293061823)の関連会社である(株)フィスコ仮想通貨取引所(TSR企業コード:017738717)に「Zaif」事業を譲渡していた。
「Zaif」事業の譲渡終了後、テックビューロは契約承継を承諾していない顧客に返金を継続しているが、返金対応の受付は8月31日で終了を発表していた。
テックビューロは8月22日、仮想通貨交換業の廃業決定と同時に、テックビューロに残った顧客資産の返金方針を公表した。それによると、「(テックビューロに資産を預けている)お客様へのご返金は、お客様に追加のご負担を発生させぬよう、Zaifにご登録になった銀行口座へすべて日本円(JPY)にてご返金いたします」という。
返金手数料はテックビューロが負担し、返金予定日は顧客から返金申し込みの手続きが完了したものは毎月15日及び末日締め、翌15日以降に返金する。受付期間は9月2日から11月30日まで。なお、受付期日までに連絡が取れなかった顧客は、残金を大阪法務局に供託する。必要な手続きを完了後、資金決済法上の「仮想通貨交換業」の登録を返上して完全に廃業するという。
東京商工リサーチ(TSR)情報部は7月18日、フィスコへの承継分の残高確認、返金対応など、廃業もしくは法的倒産に向けた動きについてテックビューロに取材を申し込んでいた。しかし、テックビューロからは「弊社で責任を持って回答いたします」との自動送信メールはあったが、その後は一切の回答がなかった。

テックビューロの本社(2018年9月撮影)

テックビューロの本社(2018年9月撮影)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

私立大学の経営、売上トップは(学)順天堂 赤字企業率5割に迫る、損益は地域格差が鮮明に

私立大学を経営する全国の543法人のうち、約半数の253法人が2024年決算で赤字だった。赤字企業率は46.5%にのぼり、前期(40.8%)から5.7ポイント上昇し、5割に迫った。

2

  • TSRデータインサイト

企業倒産、破産の割合が9割超で過去最大 ~ 背景に「手形減少」と「準則型私的整理」 ~

企業倒産のうち、破産の構成比が90.3%に達し、過去最大を記録した。民事再生法はわずか2.2%にとどまる。破産は、売上不振や財務内容が悪化し、再建が見通せない企業が選択する。なぜ今、破産の構成比が高まっているのか――。

3

  • TSRデータインサイト

2025年上半期 20床以上の病院倒産が急増 「病院・クリニック」倒産21件、5年連続で前年同期を上回る

病床20床以上の病院の経営が厳しさを増している。2025年上半期(1-6月)の病院・クリニックの倒産は21件(前年同期比16.6%増)だった。上半期では、コロナ禍の2020年を底に、2021年から5年連続で前年同期を上回り、1989年以降で最多の2009年同期の26件に次ぐ、2番目となった。

4

  • TSRデータインサイト

リフォーム・塗装工事の倒産が急増 ~ 点検商法などのトラブル多発 ~

リフォーム・塗装工事の倒産が急増している。2025年上半期(1-6月)の倒産は119件に達し、過去20年で最多だったリーマン・ショック後の2009年同期の111件を上回った。

5

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 止まらない客室単価の値上げ インバウンド需要で高稼働・高単価が続く

インバウンド(訪日旅行客)需要に支えられ、ホテル業界は好調が続いている。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2025年3月期の客室単価は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に前年同期を上回り、稼働率も前年同期並で高水準を維持している。

TOPへ