• TSRデータインサイト

2019年都道府県別「赤字法人率」調査、赤字法人率66.6%、7年連続で改善

 国税庁が2019年2月28日に公表した「国税庁統計法人税表」(2017年度)によると、赤字法人率は66.6%(前年度67.6%)だった。全国の普通法人271万6,818社のうち、赤字法人(欠損法人)は181万977社で、赤字法人率は前年度より1.0ポイント改善した。2011年度から7年連続で赤字法人率は改善しており、調査を開始した2006年度以降、最低を記録した。 都道府県別で、赤字法人率の平均(66.6%)を上回ったのは18都府県で、前年度(22都府県)より4県減少した。赤字法人率の最高は徳島県の73.6%(前年度74.1%)で、2007年度以降、11年連続で最も高かった。最低は沖縄県の59.6%(同60.3%)で、唯一、60.0%を下回った。
産業別の赤字法人率は、最高が小売業の74.5%(同75.1%)。以下、金融・保険業69.1%(同68.9%)、サービス業他68.6%(同69.4%)の順。10産業のうち、金融・保険業と運輸業を除く8産業で、赤字法人率が改善した。
輸出関連産業やインバウンド効果、公共事業を中心とした建設需要などで、企業業績は改善が進み、赤字法人率の低下につながった。また、岩手県、宮城県、福島県を除く44都道府県で赤字法人率は低下しており、2017年度は全国的に赤字法人率は改善したことがわかった。

  • 赤字法人率は、普通法人を対象に赤字(欠損)法人数÷普通申告法人数×100で算出した。
  • 普通法人は会社等(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、特定目的会社、相互会社)、企業組合、医療法人などを含む。

赤字法人率、過去最低の66.6%

 2017年度の全国の普通法人271万6,818社のうち、赤字法人は181万977社(年2回の複数納税を含む)だった。赤字法人率は66.6%で、前年度より赤字法人数は4,982社減少。赤字法人率も前年の67.6%より1.0ポイント低下し、集計を開始以来、最低を記録した。
リーマン・ショック後の2010年度に赤字法人率は最高の75.7%を記録したが、その後、赤字法人率は減少。2017年度は、2010年度に比べ9.1ポイント改善した。大手企業を中心に業績改善が進み、全国的に改善傾向が見られた。

赤字法人率推移

都道府県別、44都道府県で赤字法人率が改善

 都道府県別では、44都道府県で赤字法人率が前年度より改善した。全国の赤字法人率の66.6%を上回ったのは18都府県だった。
赤字法人率が最も低かったのは、2年連続で沖縄の59.6%(前年度60.3%)。沖縄の主力産業である建設業は公共工事への依存度が高く、赤字決算は公共事業の受注が難しくなることも背景にあるとみられる。また、観光客の増加なども企業業績に寄与した。次いで、青森60.4%(同60.8%)、岩手62.5%(同61.8%)、長崎62.9%(同63.4%)、山形63.2%(同64.3%)と続く。赤字率のベスト10(低率)には、九州、東北が目立った。
一方、赤字法人率が最も高かったのは、徳島の73.6%で11年連続。次いで、長野70.7%、香川69.9%、栃木69.6%と続く。徳島は木工関連や医療法人、福祉関係の赤字法人数が多かった。
赤字法人の増減率は、熊本が地震の復旧需要で前年度比5.1ポイント改善した。一方、福島、宮城、岩手の3県は東日本大震災の復興特需の一巡などで、赤字法人率が上昇した。

赤字法人数、33道府県で減少

 都道府県別の赤字法人数は、33道府県で減少した。減少率が最も高かったのは、熊本で前年度比5.9%減(23,767→22,347社)。次いで、静岡が同2.0%減(49,072→48,058社)、三重が同1.8%減(19,444→19,093社)、滋賀が同1.7%減(13,452→13,220社)と続く。
一方、増加率では福島が前年度比4.26%増(23,923→24,944社)、沖縄が同4.21%増(13,560→14,131社)、宮城が同2.6%増(26,182→26,876社)、岩手が同1.7%増(10,854→11,049社)と続く。
このほか、普通申告法人数の増加率が高かったのは沖縄5.3%増、福岡2.4%増、奈良2.05%増、東京2.00%増など。

都道府県別赤字法人率ランキング

東北を除く全国8地区で改善

 地区別の赤字法人率では、東北を除く8地区で前年度より改善した。このうち、赤字法人率が最も低率だったのは北海道63.6%(前年度64.9%)で、前年度より1.3ポイント改善した。
次いで、東北64.1%、九州64.3%、北陸64.9%、近畿65.9%、中国67.0%、中部67.5%、関東67.6%と続き、四国が最も高率の69.4%を示した。

産業別赤字法人率、製造業の改善幅が最大

 産業別の赤字法人率では、最高は小売業の74.5%(前年度75.1%)と唯一70%を超え突出した。以下、金融・保険業69.1%(同68.9%)、サービス業他68.6%(同69.4%)と続く。産業別の赤字法人率は、10産業のうち8産業が前年度より改善した。赤字法人率が悪化したのは、金融・保険業の0.2ポイント悪化(68.9→69.1%)、運輸業が0.08ポイント悪化(59.27→59.35%)だった。金融・保険業では、証券での赤字法人数増加が目立った。

 2017年度の赤字法人率は、円安と金融緩和、インバウンド効果の恩恵による消費好転、公共事業拡大などで全国的に改善し、黒字法人数は92万6,680社(前年度比4.1%増、年2回の複数納税を含む)まで増えた。ただ、依然として半数以上の66.6%の法人が赤字の状況は続いている。
地方経済は、産業や地域特性で差異が生じる。また、母数の普通申告法人数が増加すると赤字法人が同数の場合、赤字法人率は低下するだけに、赤字法人率が高止まりする地域は収益性だけでなく、新設法人や休廃業まで考慮することが必要になる。広義の意味で、赤字法人率は地方経済の特徴や課題を浮き彫りにするもので、変化要因を把握することも必要だろう。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「リファラル採用」 企業の半数に広がる 定着率はリファラルが新卒、転職エージェントを上回る

東京商工リサーチは、採用に関する企業向けアンケート調査を実施した。人手不足やAI・DXの普及で転職市場の活況が続き、近年はリファラルやアルムナイ採用も広がっている。特に、リファラル採用は、転職エージェントの紹介より従業員の定着率が高いと考える企業が多いことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

大手ホテル好調 客室単価と稼働率が同時上昇 客室単価はコロナ禍の2倍超、稼働率は83.3%

インバウンド需要と国内旅行の復活で、大手ホテルの客室単価と稼働率が、コロナ禍以降で最高を更新した。 ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年度の客室単価は、1万7,818円(前年度比8.6%増)で前年度より1,424円上昇した。稼働率は83.3%(前年度82.3%)で、高水準を維持した。

3

  • TSRデータインサイト

経営責任を取る事業再生、ジュピターコーヒーは黒字化へ ~ ネクスト・キャピタル・パートナーズ 単独インタビュー ~

2025年度の企業倒産は1万505件(前年度比3.5%増)で、2年続けて1万件を超えた。 こうしたなか、20年を超すファンド運営で事業再生を数多く手掛けてきたのがネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)だ。浅野晃司・取締役執行役員に特色や取り組みを聞いた。

4

  • TSRデータインサイト

企業の7.8%で退職金「増額・導入」  「減額・廃止」企業は月給などへ、資産形成は自己責任

これまで「年功序列」や「終身雇用」が前提の日本の会社では、長く勤め上げてまとまった退職金を受け取ることが一般的だった。だが、東京商工リサーチ(TSR)のアンケート調査で、2023年以降の退職金制度は「増額・導入」が7.8%に対し、「減額・廃止」は1.9%だった。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ