• TSRデータインサイト

「AI・ドローン・自動運転」関連事業者の新設法人調査、「AI」関連は前年比1.5倍増

 「AI・ドローン・自動運転」関連事業を目的にした法人が相次いで設立されている。
2018年(1-12月)に全国で新しく設立された法人 (以下、新設法人)は12万8,610社(前年比2.7%減)だった。このうち、主要事業目的として「AI」を記載した企業は211社(同52.8%増)で、前年比1.5倍増と急増した。「ドローン」を記載した法人は195社(同9.7%減)、「自動運転」を記載した法人は7社(同250.0%増)だった。
「AI」「ドローン」「自動運転」を主要事業に記載した新設法人は、2014年はそれぞれ20社未満にとどまっていたが、2015年を転機に「ドローン」が急伸し、2017年には216社を数えた。だが、「ドローン」は利活用より国の規制強化が先行したことから、新設法人は2018年に減少へ転じ、市場の行方を見極めようとする動きも見え隠れする。人工知能など世界的に注目を浴びる「AI」は、国が技術立国の方向性を示したことで2018年も前年比1.5倍増と高い伸びを示した。

  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象345万社)から、2014年~2018年に新しく設立された法人データのうち、商業登記簿の事業目的の第1項目に「AI」、「ドローン」、「自動運転」に関連するキーワードを含む企業を抽出し、分析した。
  • 「AI」は「AI、人工知能、機械学習、ディープラーニング、ビッグデータ、深層学習」、「ドローン」は「ドローン、無人航空機」 、「自動運転」は「自動運転、コネクテッドカー、MaaS、CASE」を関連キーワードとした。

「AI・ドローン・自動運転」新設法人数年間推移

資本金別 「自動運転」関連事業者は少額資本金が少ない

 「AI・ドローン・自動運転」関連事業者の資本金は、「AI」は「1百万円以上5百万円未満」が77社(構成比36.4%)で最も多い。「ドローン」も最多は「1百万円以上5百万円未満」の94社(構成比48.2%)だった。一方、「自動運転」は「5百万円以上1千万円未満」の4社(同57.1%)が最も多く、全体の6割近くを占めた。「自動運転」は、研究開発や設備投資などへの先行投資が大きく、参入には資本金も一定のハードルがあるようだ。

 2018年に全国で新設された「AI・ドローン・自動運転」関連事業者は、合計410社(重複除く、前年比15.4%増)だった。2014年の33社から12.4倍と大幅に増えた。 2018年の全国の新設法人は12万8,610社(業種問わず、前年比2.7%減)で、9年ぶりに前年を下回ったが、「AI」「ドローン」「自動運転」関連事業は、将来有望だけに新規参入が相次いでいる。
「AI」は、2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」で掲げたSociety 5.0の実現の鍵として、官民あげて開発・発展に取り組んでいる。
「ドローン」は、2015年4月22日に首相官邸に落下したドローンが発見され、広く注目を集めるようになった。所管官庁の担当者は、「良くも悪くもあれを契機に有用性が認識され、ビジネスチャンスと捉える動きが広がった」と話す。政府は、2015年4月24日に「小型無人機に関する関係府省庁連絡会議」を立ち上げ、ルール作りに着手。同年12月には「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」を設置し、利活用の推進に取り組んでいる。
一方、「自動運転」は、2014年6月に政府が策定した「官民ITS(高度道路交通システム)構想・ロードマップ」に基づき、官民一体となり研究開発と環境整備を進めている。
こうしたなか、「ドローン」関連事業者の新設法人は、これまでの増勢から一転、2018年は195社(前年比9.7%減)へ減少した。「AI」や「自動運転」は、官民が一体となって発展・普及に取り組んでいるのに対し、「ドローン」は2015年4月の落下事件で安全面を重視したルール作りが優先された。その後、ようやく利活用の議論が活発化し始めているが、ビジネスとしての可能性を探る動きは模索の中にあるようだ。
また、「AI」「ドローン」は、2018年の新設法人のうち、資本金1000万円未満が約9割を占め、過小資本が特徴になっている。まだ市場は黎明期に入ったばかりで、ブームに乗じた参入組が多いことがわかる。ただ、世界的なニーズ拡大を見越し、事業計画の精査などで成長と持続可能性のある企業を見極め、出資や成長資金の融資などの支援が必要になるだろう。
「AI・ドローン・自動運転」を含め、成長が期待される分野への新規参入の企業は、実績が乏しく過度の期待は難しい。事業再生や倒産法に詳しい弁護士は、過熱するAI市場について、「(新設法人の中には)売上が立たずエクイティ(出資)で資金を回す会社もある。こうした会社の債務整理の相談が最近増えている」と、AIバブル気味の状況に警鐘を鳴らしている。
新設法人が急増する「AI・ドローン・自動運転」関連事業だが、拡大が期待される市場でいかに新規参入企業がビジネスとして定着できるか、ブーム先行だけにまだ不透明だ。時代が求める成長ビジネスに発展していくには、資金力より将来を見据えた事業計画の実現度が問われている。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ