2019年3月期決算上場企業1,841社「従業員平均年齢」調査
2019年3月期決算の上場企業1,841社の平均年齢(中央値)は41.4歳で、前年同期(41.2歳)より0.2歳上昇した。平均年齢の上昇は、調査を開始した2010年3月期以降、9年連続で上昇をたどり、2010年3月期(39.5歳)からの10年間で1.9歳上昇した。
企業別では、最高は石炭販売やマンション分譲を行う太平洋興発で58.0歳(従業員数246人、前年同期57.5歳)。2位は不動産開発や賃貸を行うRISE56.0歳(同3名、同54.8歳)、3位は公営競技関係施設を管理運営する花月園観光で55.8歳(同20人、同55.1歳)。平均年齢50歳以上は16社で、前年同期の14社より2社増えた。
業種別では、建設業が43.4歳(前年同期43.4歳)で最も高かった。一方、最低はサービス業の39.0歳(同39.1歳)だった。
早期・希望退職の募集を実施した上場企業は前年実績を上回るペースで推移している。また、対象年齢も50歳以上から次第に45歳~35歳まで下がっている。これは業績不振だけでなく、業績好調でも新規事業に向けた施策もあり、上場企業の平均年齢がどう展開するか注目される。
- ※本調査は、有価証券報告書の「従業員の状況」から上場企業の平均年齢を抽出し、分析した。
- ※2010年3月期決算から2019年3月期まで連続で比較が可能な企業を対象(変則決算、持株会社を除く)。業種分類は証券コード協議会の定めに準じた。
産業別 建設業が43.4歳で最高
産業別では、10産業のうち、6産業で平均年齢が上昇した。一方、低下したのはサービス業の1産業で、3産業は前年同期と同年齢だった。
建設業が43.4歳(前年同期43.4歳)で最も高かった。調査を開始した2010年3月期(42.8歳)以降、10年連続で平均年齢がトップ。次いで、製造業41.7歳(同41.6歳)、卸売業41.5歳(同41.5歳)、水産・農林・鉱業41.3歳(同41.3歳)、運輸・情報通信業と金融・保険業、不動産業の40.1歳と続く。
トップの建設業は、活発な建設投資を背景に中途採用に積極的だが、バブル期に大量採用した従業員の年齢上昇が進んでいることも背景にあるようだ。
最低はサービス業の39.0歳(前年同期39.1歳)で、唯一、前年同期より平均年齢が低下した。次いで、小売業39.6歳(同38.9歳)の順。この2産業で平均年齢が40歳未満だった(前年同期5産業)。
平均年齢の上昇の最高は、小売業の前年同期比0.7歳上昇(38.9→39.6歳)だった。労働集約型産業で、賃金や労働条件などで人材不足が顕著となっている。新卒者だけでなく中途採用も多く、平均年齢が押し上げられているようだ。
平均年齢の最多は40歳以上45歳未満で1,094社
平均年齢のレンジ別では、最多は40歳以上45歳未満の1,094社(前年同期1,055社)で、約6割(構成比59.4%)を占めた。次いで、35歳以上40歳未満の499社(前年同期547社)、45歳以上50歳未満168社(同155社)の順。また、50歳以上も16社(同14社)と、平均年齢が高いレンジで社数が増加した。
最低は30歳未満の4社で、全体の0.2%にとどまった。
調査を開始した2010年3月期は、35歳以上40歳未満(810社)が、40歳以上45歳未満(760社)を上回っていた。しかし、2011年3月期には40歳以上45歳未満(816社)が35歳以上40歳未満(781社)の社数を上回った。バブル期の大量採用組の従業員が年齢を押し上げ、40歳以上45歳未満の社数は9年連続で増加した。
個別企業の平均年齢の上昇では、最高は特殊印刷機メーカーのナビタスで前年同期比4.4歳上昇(41.7→46.1歳)。同社の従業員数は85人(前年同期77人)、平均勤続年数は12.3年(同10.6年)。次いで、投資業のアジア開発キャピタルの同4.3歳上昇(43.1→47.4歳)、中堅ゼネコンの錢高組の同4.2歳上昇(40.5→44.7歳)の順。
一方、平均年齢の低下の最高は21LADYの同6.2歳低下(55.9→49.7歳)だった。