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「東南アジアは、虫ケアメーカーに更なる商機あり」虫ケア用品最大手のアース製薬、川端克宜社長 独占インタビュー(後編)

-海外進出については?
 アースの主事業の虫ケア用品は日本では成熟市場になっているため、中国やASEAN(東南アジア諸国連合)を中心としたアジア地域に積極的に進出している。中国以外は現在、タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア。今年に入り、新たに3年前から調査を続けてきたマレーシアにも現地法人を設立した。5年前の社長就任時に、「今から5、6年後に回収のフェーズに入れば」と考え、投資してきた。

-海外での日本メーカー品の需要は?
 中国やASEANを中心としたアジア地域では“良いもの”を求める消費者を中心に興味、関心は高いようだ。
 現地の経済発展も続いている。そのため虫ケア用品にもお金を掛ける割合は今後、着実に上がっていくとみている。

-海外事業の売上見通し、今後の海外展開は?
 私が社長に就任するまで海外売上は20億円程度だったが、昨年100億円に迫った。海外売上は、今後も増加していくと考えている。競合他社も海外に積極的に進出している。「アフリカには進出しないの?」と質問されることもしばしばあるが、今は正直考えていない。10年後に“ASEANでそこそこのポジションを確立できた”という確信を持てたら、ほかの地域への進出を考える。将来的には売上高300億円を目指す。
 虫ケア用品は日本では成熟市場で、飽和状態。でも、海外はそこまでの状態ではない。どのメーカーにもビジネスチャンスがあると考えている。

グローバル戦略を語る川端社長(撮影・東京商工リサーチ)

グローバル戦略を語る川端社長(撮影・東京商工リサーチ)


-今年2月に介護用品市場に参入した
 介護する方を助ける「ヘルパータスケ」シリーズを発表した。介護の現場で課題となっている“抗菌”や“消臭”機能に着目。市場ニーズが見込めると判断した。
 介護する方へアンケートを実施すると、様々な介護のニーズや問題が山積みとなっていることも分かってきた。

-販売先は?
 介護用品は、日用品と流通がまったく異なる。日用品はドラッグストアやスーパーのようなリアル店舗が中心だ。しかし、リアル店舗での介護用品コーナーはスペースにも限りがある。そこで今後は介護施設への販売も視野に考えていく。新たな分野でもあり、この1年ルートの開拓などあらゆることにチャレンジしていきたい。

-近年、M&Aを次々に成功させている
 大塚達也・前社長(現会長)時代の2012年に(株)バスクリン(TSR企業コード:297484419、千代田区)をM&Aした。それまでアースは単体ベースで成長し続けてきた。そこから2年空け、(株)白元(現:白元アース(株)、TSR企業コード:300595093、台東区)もM&Aした。また、ペット関連商品の製造・販売を手掛けるジョンソントレーディング(株)を統合し、アース・ペット(株)(TSR企業コード:840107366、東京都港区)も設立した。園芸でも業務提携も実施している。この7年間に国内で行ったM&Aで、1+1=2以上の成果をあげている。

-M&Aで重視することは?
 2つのことに重点を置いている。1つは、メーカーとして強いもの同士か。2つ目は、シナジー効果で市場への圧倒的なシェアが見込めるかどうか。
 バスクリンと、アースは互いを意識するあまり、同じような入浴剤を発売し、売場ではライバル関係だった。競争することは良いことだが、無駄な競争があったことも事実だ。しかし、M&A後、現在はその問題は解消されている。シェアも圧倒的だ。
 白元の時も同様に、防虫剤市場でナンバー1、ナンバー2を狙える位置にあったからM&Aに踏み切れた。

-M&Aに関し、市場からの注目も高い
 バスクリンを買収した2012年当時と比べ、M&A案件は圧倒的に増えている。やはり、バスクリンを買収したことで、「(アースは)M&Aをやる会社だ」と思われるようになった。立て続けに白元もM&Aがうまくいき、意欲的に思われているようだ。
 決断に関しては、第一印象で「いいな」と思ったものは大抵いい。基本的にはデューデリジェンスの期間でしっかり決めてしまう。時間を掛けての駆け引きはしない。相手側も、(決断までの)時間を引き伸ばされても困るだろう。
 ただ一方で、企業文化の違う会社が一緒になっているため、今後はコミュニケーションの強化が課題だと考えている。

-グループ間の人的交流は?
 今年の人事から役員の相互派遣を始めた。これにより、グループ間のコミュニケーションをさらに強化する。 “言葉にしなくても伝わるだろう”と思うことでも、実際に言葉にしないと伝わらないことが多い。会社で何か問題が起きたときに「コミュニケーション不足でした」と反省することがないようにコミュニケーションの大切さを日頃から口酸っぱく言い続けている。コミュニケーションは理屈では語れない。
 アース製薬だけでも、管理部門、営業部門、海外部門などたくさんの部門がある。グループ会社になると、もっと必要になる。コミュニケーションに関しては“終わりがない”。

-今後のM&Aについては?
 これまでは買い手側として話をしてきた。これはあくまでも仮の話になるが、グローバル競争を勝ち抜くため、圧倒的シェアを獲得できるなら、売り手側、買い手側の立場に拘ることはない。無駄な競争を無くし、従業員の幸せな生活が保障できれば。

 ASEAN地域を中心に、海外で積極的に商圏の拡大を進めるアース製薬。インタビューで川端社長は、今後の海外展開について「引き続き伸長するだろう」と笑顔で語る。多くの地域で必要不可欠な“虫ケア用品”。今後も続く、アースグループのグローバル戦略に注目したい。



(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年7月19日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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