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「すてきナイスグループ国内取引先状況」調査

 不動産取引を巡る架空売上問題が浮上した建築資材・住宅事業を手掛けるすてきナイスグループ(株)(TSR企業コード:350011826、法人番号:2020001037946、横浜市鶴見区、東証1部)は5月16日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑で横浜地検と証券取引等監視委員会の合同による家宅捜査を受けた。
5月20日、平田恒一郎代表取締役会長兼CEOが代表取締役と取締役を辞任、木暮博雄代表取締役社長が取締役となる人事を発表。新社長には杉田理之取締役が就任した。
東京商工リサーチでは、すてきナイスグループおよび関連会社で直接取引がある1次、間接取引がある2次国内取引先数を調査した。取引先数は仕入先総数が2,907社(重複除く)、販売先数が7,855社(重複除く)だった。
すてきナイスグループは、横浜市鶴見区で材木店として創業。順次、戸建住宅やマンション分譲などを展開し、子会社79社および関連会社13社(2018年3月期末時点)で構成。グループ従業員は2,468名を擁する。5月10日開示の2019年3月期決算短信(連結)は、売上高2,249億2,700万円、経常利益8億4,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3億5,000万円と公表していた。

  • 本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、すてきナイスグループおよび同社グループの仕入先、 販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分け、業種、地区などを抽出、分析した。
  • 次取引先は直接取引のある取引先、2次取引先は1次取引先と直接取引がある間接取引企業を示す。
  • すてきナイスグループのほか、2018年3月期の有価証券報告書に記載されている国内連結子会社44社、持分法適用関連会社3社を対象とした。

1次仕入先は建設業、1次販売先は販売先が最多

 すてきナイスグループの取引先の産業別では、1次仕入先の最多が建設業の208社(構成比28.1%)。次いで、製造業199社(同26.8%)、卸売業167社(同22.5%)の順。2次仕入先の最多は卸売業の790社(同34.1%)。1次販売先は卸売業が950社(同43.5%)で最多。以下、建設業757社(同34.7%)、製造業267社(同12.2%)の順。2次販売先は、最多が建設業の4,033社(同67.1%)で6割を占めた。

すてきナイスグループ取引先産業別

1次仕入先は東京都と神奈川県が突出

 すてきナイスグループの取引先の所在地では、1次仕入先は東京都が143社で最多。次いで、地元神奈川県が134社で、トップの東京都と拮抗。以下、静岡県46社、大阪府32社、宮城県と栃木県が各30社と続く。2次仕入先は、東京都が692社で最も多かった。
1次販売先は、長野県が277社で最多。以下、神奈川県234社、東京都179社、静岡県163社、栃木県114社の順。2次販売先は、2次仕入先と同じく東京都(743社)が最多だった。

 捜査が入った以降、すてきナイスグループの取引先などから問合せが急増した。取引先のうち、地元神奈川県が1次仕入先と1次販売先でそれぞれ2番目に企業数が多く、地元密着の一面がうかがわれる。ただ、取引先は全国に及び、すてきナイスグループの今後の動向が注目される。

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