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2018年「休廃業・解散企業」動向調査

 2018年に全国で休廃業・解散した企業は4万6,724件(前年比14.2%増)だった。企業数が増加したのは2016年以来、2年ぶり。2018年の企業倒産は8,235件(同2.0%減)と、10年連続で前年を下回ったが、休廃業・解散は大幅に増加した。休廃業・解散と倒産した企業数の合計は、判明分で年間約5万5,000件に達し、全企業358万9,000者の1.5%を占めた。
 休廃業・解散した企業の代表者の年齢は、60代以上が8割(構成比83.7%)を超え、高齢化による事業承継が難しい課題がより鮮明になってきた。
 産業別は、サービス業他が全体の約3割(同29.3%)を占めた。2017年の新設法人13万1,981社(前年比3.1%増)のうち、サービス業他は39.9%(5万2,774社)と約4割を占め、起業しやすい反面、退出も多い構図がうかがえる。


  • 東京商工リサーチが保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で事業活動を停止した企業と定義した。
  • 2017年新設法人数は、2018年5月23日発表「2017年『全国新設法人動向』調査」(東京商工リサーチ)に基づく。
  • 全企業(大企業と中小企業・小規模事業者)数は、中小企業庁2018年11月30日発表に基づく(2016年6月時点)。

休廃業・解散、倒産件数 年次推移

休廃業・解散企業の従業員 13万3,815人

 2018年に休廃業・解散した企業の従業員数(判明分)は、合計13万3,815人(前年比24.1%増)で、2年ぶりに増加した。事業譲渡に伴う休廃業・解散もあり、すべての従業員が失業したわけではないが、休廃業・解散で13万人超が勤務先の変更や離職を余儀なくされたことになる。
 法人格別では、最多は「株式会社」の1万9,684件(前年比16.2%増)。2019年度より事業承継税制が拡大される見込みの「個人企業」は8,001件(同12.5%減)で3位だった。2位の「有限会社」は1万5,898社(同30.7%増)。有限会社は2006年5月の会社法改正後、新設されていない。

休廃業・解散 従業員数合計、法人格別

産業別 10産業のうち9産業で前年より増加

 産業別では、最多は飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含むサービス業他の1万3,698件(構成比29.3%)。次いで、建設業の9,084件(同19.4%)、小売業の6,508件(同13.9%)と続く。
 参入障壁が低い産業は新規参入が多いが、その分競合も激しく退出が進む新陳代謝が目立つ。

休廃業・解散 産業別

代表者年齢別 70代以上の構成比が大幅に増加

 休廃業・解散した企業の代表者の年齢別(判明分)は、70代が最も多く37.5%だった。次いで、60代の29.0%、80代以上の17.1%と続き、60代以上が全体の83.7%を占めた。
 2016年まで60代の構成比が最高だったが、2017年から最多は70代にシフトし、事業承継の遅れが休廃業・解散につながりやすいことを示している。2018年は60代の構成比が前年より3.9ポイント低下する一方、70代以上は4.4ポイント増加した。また、80代は17.1%で50代を6.8ポイント上回り、経営者の高齢化が休廃業・解散に至る大きな要因であることを示している。

休廃業・解散 代表者の年代別構成比


 2018年の「休廃業・解散」は4万6,724件、従業員数は13万3,815人(前年比24.1%増)だった。政府は、2017年度で531兆円の名目GDP(国内総生産)を、2020年頃に600兆円まで引き上げる方針を打ち出している。急速に進む少子高齢化で、国内人口と生産年齢人口は減少をたどっており、生産性の低い企業の市場撤退と労働力の流動化はプラス材料にも映るが、実態は単純ではない。
 休廃業・解散した企業のすべてが生産性に課題を抱えているわけではない。休廃業・解散した企業の中には業績好調ながら後継者難で事業継続を断念するケースもある。また、地方ほど地域の雇用や経済に影響を及ぼすケースも少なくない。
 中小企業庁は、2017年度を初年度とする「事業承継5カ年計画」を策定。各都道府県に事業承継ネットワークを展開し、事業承継診断を含むプッシュ型の支援などに取り組んでいる。同時に、事業承継税制を拡充し、2018年度より法人資産の承継では贈与税・相続税の猶予割合を80%から100%へ引き上げた。2019年度には個人企業にも拡充される見込みだ。
 こうした事業承継の優遇税制は、様々な分野で特色ある事業活動を行い多様な就業機会を提供している中小企業の事業継続を目指している。ただ、納税猶予の条件の一つである「特例承継計画」は、企業の特色や生産性向上の取り組みを必ずしもすべてチェックしているわけではない。
 経営者の高齢化や人手不足が深刻さを増すなか、「廃業」を負の側面と強調するだけでは前に進まない。円滑な事業承継や事業譲渡に向け、多面的で具体的な成長支援策が求められる。

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