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2018年「老人福祉・介護事業」倒産状況、倒産件数が106件、7年ぶりに前年を下回るも高止まり

 2018年(1‐12月)の「老人福祉・介護事業」倒産は106件(前年比4.5%減)だった。介護保険法が施行された2000年度以降では、7年ぶりに前年を下回った。ただ、倒産件数は過去3番目に多く、高止まり状況が続いている。
 業種別では「訪問介護事業」が42.4%を占めた。「有料老人ホーム」は14件になり、先行投資に見合う入所者が集められない計画性に問題のある事業者を中心に、前年比2.3倍増と突出したのが目立った。
  倒産した事業者は、従業員5人未満が全体の62.2%、設立5年以内が32.0%を占め、小規模で設立から日が浅い事業者が倒産を押し上げている。競合に加えて、人手不足の深刻化で介護職員の離職を防ぐために人件費も上昇し、「老人福祉・介護事業」は淘汰の動きが加速している。


  • ※本調査対象の「老人福祉・介護事業」は、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む。

倒産件数は7年ぶり減少も過去3番目の高止まり

 2018年(1‐12月)の「老人福祉・介護事業」の倒産は106件(前年比4.5%減)で、2011年以来、7年ぶりに前年を下回った。ただ、介護保険法が施行された2000年以降、過去3番目の件数で依然として高止まりが続いている。
  負債総額は81億9,400万円(前年比45.4%減、前年150億1,100万円)、前年より4割減少した。これは前年5件だった負債10億円以上の発生がなかったのが大きな要因。全体では負債1億円未満が82件(前年比10.8%減、構成比77.3%)と7割を占め、小規模事業者の倒産が大半だった。
 

年後半にかけて倒産が減少、介護報酬プラス改定の影響も

 2018年(1‐12月)の「老人福祉・介護事業」倒産を四半期別でみると、2018年1-3月が前年比28.5%増(14→18件)、4-6月が同3.8%増(26→27件)と、前半は過去最多ペースの高水準で推移していた。しかし、後半に入ると状況が一変した。7-9月が同6.4%減(31→29件)、10-12月が同20.0%減(40→32件)と年後半にかけて減少幅が広がった。
  介護報酬改定と倒産との関連性は明言できないが、9年ぶりのマイナス改定となった2015年度改定(2.27%引き下げ)以降に倒産増加に拍車がかかり、2018年度改定(0.54%引き上げ)以降は7年ぶりの倒産減少につながった。このことから、少なくとも介護報酬改定の寄与と倒産発生ペースとの関連は否めない状況だ。

老人福祉・介護事業の倒産件数 年次推移

業種別最多は「訪問介護事業」、「有料老人ホーム」は2.3倍増

 業種別では、最多が「訪問介護事業」の45件(前年45件)だった。次いで、デイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」が41件(同44件)、「有料老人ホーム」が14件(同6件)、サービス付き高齢者住宅などを含む「その他の老人福祉・介護事業」が3件(同9件)の順だった。
 このなかでは、「有料老人ホーム」が2.3倍増と急増ぶりが目立つ。倒産事例では、同業他社との競争激化で入所者確保に苦慮する事業者の破綻が目立ち、経営基盤の脆弱な事業者を中心に「ふるい分け」が進んでいることが窺える。

設立別、5年以内が3割

 設立別では、2013年以降に設立された事業者が34件(構成比32.0%)と3割を占め、設立5年以内の新規事業者が目立つ。また、従業員数では5人未満が66件(前年比2.9%減、前年68件)で、全体の6割(構成比62.2%)を占めた。小規模で資金調達や経営体制が未整備のまま、見切り発車し、淘汰に追い込まれた新規事業者の実態が透けてみえる。

原因別、「販売不振」が2割増

  原因別では、最多は販売不振(業績不振)が63件(前年比23.5%増、前年51件)と増加した。次いで、「事業上の失敗」が19件(同26.9%減、同26件)、既往のシワ寄せが8件と続く。
 計画性を欠く起業、本業不振のため異業種からの参入など、事前準備や事業計画が甘い小・零細規模の事業者が、思惑通りに業績を上げられず経営に行き詰まるケースが多い。

形態別、事業消滅型の破産が9割を占める

 形態別では、事業消滅型の破産が99件(前年比2.9%減、前年102件)と全体の9割(構成比93.9%)を占めた。一方、再建型の民事再生法は3件(前年4件)にとどまり、業績不振に陥った事業者の再建が難しいことを示している。

地区別件数、全国9地区のうち、北陸を除く8地区で倒産発生

 地区別では、全国9地区のうち北陸を除く8地区で倒産が発生した。最多は関東の33件(前年39件)で、次いで近畿21件(同24件)、中部15件(同14件)、九州14件(同12件)、東北8件(同2件)、北海道6件(同7件)、中国6件(同7件)、四国3件(同2件)の順。前年比では、東北、中部、四国、九州の4地区で前年を上回った。


 政府は、今年10月に実施予定の消費税率引き上げに伴う施設・事業所の出費を補填するため、今年10月に介護報酬を改定し、全体を0.39%引き上げることを決定した。さらに、人手不足に対応するため出入国管理法を改正し、外国人の新たな在留資格に介護も対象にした。
 先行きには経営環境の改善が図られる期待も出てきたが、介護業界の人手不足は、国内景気が悪い時の採用は順調だが、好況になると人材が他業種へ流出する、景気と逆行する傾向が強い。
 介護職員不足の中で、離職を防ぐための人件費上昇は避けられず、これが経営の足かせになる状況に変わりはない。2018年の「老人福祉・介護事業」倒産は7年ぶりに前年を下回ったが、高水準での推移に変わりはなく、引き続き動向から目が離せない状況にある。

老人福祉・介護事業の倒産件数 年次推移

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