• TSRデータインサイト

ジャパンライフ第1回債権者集会、山口代表「詐欺ではない」

 健康器具など「オーナー商法」で、消費者庁から4度の行政処分を受け、債権者から破産を申し立てられたジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898、代表取締役:山口隆祥氏、3月1日破産開始決定)の第1回債権者集会が11月12日、午後2時から都内で開かれた。
債権者集会に出席した複数の債権者、被害対策弁護団が、集会の詳細を東京商工リサーチ情報部に語った。

破産管財人は、「オーナー商法」を自転車操業だったと断罪。また、2008年から粉飾決算を行い、少なくとも2015年度の決算以降の消費税の脱税の疑いのほか、違法配当、不透明な役員への送金などを指摘した。
ただ、破産管財人は不動産などの資産を売却しても資産は約4億円から約5億円しかない一方で、公租公課と労働債権の財団債権が約10億円あることから、配当が難しい状況であることを明らかにした。
関係者によると、特商法違反の疑いなどでジャパンライフの捜査に着手する方針だ。
出席した債権者によると、集会には債権者約200名が参加し、壇上に裁判長、破産管財人のほか、ジャパンライフの山口代表も出席した。山口代表はグレーのスーツに身を包み、終始、壇上で出席者を睨みつけるように見回し、手で机を小さく何度も叩くなどイライラした様子を見せていた。
破産管財人は、オーナー商法の会員が約7,400人。一般債権者が約1,300人(うち労働債権が約600人)と債権者数を説明。把握可能な範囲では、オーナー商法の契約残高は2,000億円以上にのぼることを明かした。
山口代表は債権者から「自己破産をするのか」との問いかけに初めて発言。大声でお詫びした後、「国民の健康のためがんばってきた。お客も良い思いをした」と反論。さらに、「私は非常に残念です。全部誤解でオーナー商法は詐欺ではない」と語り出し、裁判長が何度も発言を遮る場面があった。
裁判長が自己破産するのか尋ねると、ようやく「自己破産を計画している」と述べた。

被害弁護団は、被害者から集めたお金が経営破たんを事前に知っていた従業員に労働債権として優先的に支払われることを問題視し、破産管財人に配慮を要望した。
15時30分、異様な雰囲気で1回目の債権者集会が終了した。2回目の債権者集会は2019年6月14日に開催される。
多くの被害者を巻き込んだジャパンライフ。破産管財人の調査に加え、司直の包囲網が築かれようとしている。逃げ得は許されない。


ジャパンライフ第1回債権者集会会場看板

ジャパンライフ第1回債権者集会会場看板


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年11月14日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)

TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【TSRの眼】「トランプ関税」の影響を読む ~ 必要な支援と対応策 ~

4月2日、トランプ米国大統領は貿易赤字が大きい国・地域を対象にした「相互関税」を打ち出し、9日に発動した。だが、翌10日には一部について、90日間の一時停止を表明。先行きが読めない状況が続いている。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 インバウンド需要と旅行客で絶好調 稼働率が高水準、客室単価は過去最高が続出

コロナ明けのインバウンド急回復と旅行需要の高まりで、ホテル需要が高水準を持続している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2024年10-12月期の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、前年同期を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年度の「後継者難」倒産 過去2番目の454件 代表者の健康リスクが鮮明、消滅型倒産が96.6%に 

2024年度の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は、過去2番目の454件(前年度比0.8%減)と高止まりした。

5

  • TSRデータインサイト

2025年「ゾンビ企業って言うな!」 ~ 調達金利の上昇は致命的、企業支援の「真の受益者」の見極めを ~

ゾンビ企業は「倒産村」のホットイシューです、現状と今後をどうみていますか。 先月、事業再生や倒産を手掛ける弁護士、会計士、コンサルタントが集まる勉強会でこんな質問を受けた。

TOPへ