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創業70周年を迎えた「はとバス」 中村靖社長、独占インタビュー(前編) 「バスガイドが命、人材育成は手間ひまかけてやる」

 東京の観光地をめぐる黄色いバス。お馴染みの(株)はとバス(TSR企業コード:290402638、大田区)が2018年8月、創業70周年を迎えた。はとバスツアーは、外国人からの人気も高く、東京観光コースの年間利用者数は約90万人にのぼる。利用者の増加で、業績もV字回復と好調だ。
 はとバスは、戦後間もない創業時から東京観光の発展に貢献した。初代コロムビア・ローズが歌いヒットした「東京のバスガール」もはとバスがモデルと言われている。現在ははとバスだけでなく、路線バスの受託やホテル運営、不動産賃貸まで幅広く手がけている。
日本の経済復興とともに歩んできた「はとバス」の中村靖社長に、70年の歩みや今後の経営方針を聞いた。



-創業からの歩みは
 創業当時、外国人には「新しい日本、平和な日本」、日本人には「新しい、快適な観光」を提供するのがテーマだった。終戦直後で生みの苦しみはあったが、高度成長期に大きく伸びた。草創期から発展期は1960年代。日本人の所得が増えた、例えるなら今のアジアからのお客さんのような感じ。イケイケドンドンで東京タワーも開業し、64年には東京オリンピックが開催。オリンピックの1年前に、新日本観光(株)から(株)はとバスに商号を変えた。ここが大きな発展期だった。しかし、その後はモータリゼーションが進み、旅行が団体から個人に移行。そこから低迷期に入った。

-低迷した時期は
今は利用者が年間90万人(東京観光コース)だが、50万人ぐらいになってしまった。当時は、海外旅行にも手を出したが、大きな赤字で破綻寸前までいった時期もある。1998年だ。過去最大の赤字を計上し、経営再建に向けて「お客さまのニーズに合った商品」の提供という原点に立ち返った。社員それぞれ、自分自身に責任感を持って、現場レベルでも縦割りの弊害を解消したのもこの時期。潰れる寸前までいって意識がようやく変わった。海外旅行など不採算事業を清算し、強い部分を強化。人員削減、給料カットもあった。そして、品質を良くしてV字回復につながった。

中村社長(東京商工リサーチ撮影)

中村社長(東京商工リサーチ撮影)

-東日本大震災の影響は
 東日本大震災の時も赤字になった。当然だが、観光バスどころではなかった。バスが走れない状況。その年はスポット的に赤字を計上した。その後、スカイツリーが完成して回復した。今はバブル期並みに顧客が回復し、2017年度は過去最高の売上高を記録した。

はとバス業績推移

-現在の経営方針について
 今年度は3カ年の中期経営計画(以下、中計)1年目にあたる。前回の中計の時に色々なプロジェクトを仕掛けた。ホテル事業では2019年1月、「銀座キャピタルホテル」の3館目が開業。不動産賃貸業ではオフィスビル「Shinagawa HEART」が2019年2月に完成。さらに、外国客向けのシステムを大幅に改修した。バスに関しては、お年寄りが2階建てバスに簡単に登れるよう、リフトやエレベーター付きのバスを増やしていく。
 今まで手掛けてきた大きなプロジェクトが完成する。これを節目として、はとバスも会社として発展の礎ができる。この3カ年を「第2の創業期」と位置付けている。
 それに備える体制を整えていく。面白い企画の提案、安全面でもレベルアップを図っていく。社員に対しては「STEP up to the匠」と言っている。それぞれの分野で自分たちの技量を高め、よい製品でおもてなしをしていく。バス事業の根幹は人だ。人の部分をレベルアップさせていく。

-「はとバス」の特色は
 はとバスの最大の特色は、運輸と旅行の部分があること。他社とは違い製販一体となって全部自分でまかなっている。企画も販売も運行も自分たちで行っている。最後はお客さまの声を聞いて、回していくのがはとバスの特色。それぞれの分野で、色々なことを理解し統合的に良い製品になる。

-好業績を支える商品・事業について
 「ピアニシモⅢ(スリー)」という黒いはとバスがある。高級ライン商品だ。70周年の企画でも活躍し、好調だ。事業としては、基幹の観光バスが一番。定時定路線の「定期観光バス」、募集型企画旅行、貸切りバスとうまくバランスをとりながら、ニーズを汲み観光バス事業が牽引している。
 はとバスの観光バスでは、バスガイドがとても重要だ。他社は低価格の場合、バスガイドが乗っていないケースが多い。バスガイドのおもてなしがすごく重要で、その質、イメージはとても大切。口コミの評判も大きい。人材育成を含め積極的に取り入れていく。

昭和20年代のバスガイド(はとバス提供)

昭和20年代のバスガイド(はとバス提供)
-バスガイドの育成について
 人材育成は手間ひまかけてやる。人のコストはかかるし、かけていく、という方針。うちはガイドが命。高校・短大を卒業してからやって、一人前になるのに1年はかかる。その修行は厳しい。専任の先生がしっかりついて相当厳しく教育する。ガイドは常に「お客さま」対「1人」の状況となり、本当に自分が困ることになるので、指導は厳しく行っている。
(次号へ続く)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年11月13日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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