• TSRデータインサイト

事業再生ADR申請の田淵電機、スポンサー支援の合意書を締結

 事業再生ADRで再建を目指している電子機器メーカー、田淵電機(株)(TSR企業コード:570115531、大阪市淀川区、貝方土利浩社長、東証1部)は9月25日、ダイヤモンド電機(株)(TSR企業コード:570125391、大阪市淀川区、小野有理社長、東証2部)とスポンサー支援に関する合意書を締結したと発表した。
9月27日には取引金融機関を集めて債権者会議を開催しており、事業再生ADRの成立に向けた協議を進めている。

田淵電機は今年6月に事業再生ADR申請して以降、再生計画を策定するためスポンサー候補との交渉を進めてきた。こうしたなか、9月25日開催の取締役会の決議を経て、ダイヤモンド電機とスポンサー支援に関する合意書を締結した。
ダイヤモンド電機は1940年設立の老舗電気機器部品メーカー。自動車エンジン向けの点火コイルなど自動車部品や冷暖房制御機器などの分野で実績を持ち、2018年3月期の売上高は579億9,600万円(連結ベース)。また、今年10月1日からはダイヤモンドエレクトリックホールディングス(株)として持株会社体制への移行を予定している。
田淵電機はスポンサー合意に基づき、今後は支援に関する正式契約を早期に締結することを目指す。2019年1月中旬までに出資を仰ぐ方向で検討に入っており、必要に応じてつなぎ融資等の支援も検討している。
9月26日、田淵電機は東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、「ダイヤモンド電機との取引関係は、大きくはなかったがこれまでもあった。同じ大阪に本社を置き、事業内容も近く親和性がある」とスポンサーに選定の理由を説明した。出資比率や融資額の見込みについては「現在、詳細を詰めている段階」と話した。

事業再生ADR成立は最短で12月7日の見込み

 事業再生ADRは、第1回(事業再生計画案の概要説明)、第2回(事業再生計画案の協議)、第3回(事業再生計画案の決議)の債権者会議を通じて成立する。
 9月27日の会議では第2回(協議)の続会と第3回会議(決議)が同日開催され、第2回については協議継続のため11月7日に再度の続会を開催。第3回の続会は12月7日に開催することが決定した。このスケジュールに基づくと、事業再生ADRの成立は最短で12月7日が見込まれる。
 9月28日、TSRの取材に対し田淵電機は、「スポンサー支援合意の締結など大きな動きがあったため、協議に多少の時間がかかっているが、概ね順調に進捗していると考えている」(広報担当者)と話し、引き続き早期のスポンサー支援内容の確定、事業再生ADRの成立を目指す意向を示した。


田淵電機が入居しているビル

田淵電機が入居しているビル

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年10月1日号に掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

3

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

4

  • TSRデータインサイト

銭湯の利益6割減、値上げは諸刃の剣 独自文化の維持へ模索続く

木枯らし吹きすさぶなか、背中を丸めながら洗面器を抱えて銭湯に…。寒くなると銭湯が恋しくなるのは、いつの時代も変わらない。サウナブームで光明が差すように見える銭湯だが、実際はそうではない。

5

  • TSRデータインサイト

「退職代行」による退職、大企業の15.7%が経験 利用年代は20代が約6割、50代以上も約1割

「退職代行」業者から退職手続きの連絡を受けた企業は7.2%で、大企業は15.7%にのぼることがわかった。退職代行はメディアやSNSなどで取り上げられ、代行利用や退職のハードルが下がり、利用者も増えている。

TOPへ