• TSRデータインサイト

ソルガム・ジャパン・ホールディングス、上場廃止

 JASDAQ上場でバイオ燃料事業などを手がける(株)ソルガム・ジャパン・ホールディングス(TSR企業コード:291317502、品川区、中原麗社長、以下ソルガムHD)が9月3日付けで上場廃止となった。
 今年5月、2017年3月期有価証券報告書の一部に虚偽記載があったとして証券取引等監視委員会より強制調査を受ける事態が発生。その後も調査が続き、2018年3月期有価証券報告書の、期限までの提出見込みが立たず、8月2日付けで整理銘柄に指定され今回の措置となった。


 当社は1970年に工業用事業制御機器や各種検出器の製造販売を目的として、ニッポー電測(株)の商号で設立された。その後、LSI(大規模集積回路)の設計開発の受託で業容を拡大し、商号を(株)シスウェーブに変更、2007年にJASDAQ市場への上場を果たした。
 家電製品や自動車などに使用されるLSIの各開発工程でのテスト、検査プログラムの受託開発では一定の実績を持ち、2009年3月期は売上高25億4,042万円を計上。2012年2月に持株会社体制に移行した。
 その後、受注不振や競合激化による採算悪化などから深刻な業績不振が続き、2018年3月期まで9期連続で最終赤字を計上した。この間、M&Aなどで取得した子会社を通じて、バイオ燃料に利用可能性があるとされるエネルギー作物「スーパーソルガム」の種子販売事業やレストラン・ウェディング事業などにも乗り出した。

祖業を売却し、グループ構造は大きく転換

 一方で2016年11月には祖業ともいえるLSIテスト事業の中核子会社の(株)シスウェーブ(TSR企業コード:352704985、川崎市幸区)の全株式を他社へ譲渡。これによりグループの事業構造は大きく転換した。
 現在、当社グループの連結子会社は8社。新たに主軸に据えたバイオ燃料事業部門で東南アジア、メキシコなどに海外現地法人を持つほか、レストラン・ウェディング事業会社の(株)シェフズテーブル(TSR企業コード:298091097、品川区)と、2017年12月に子会社化した運送事業の(株)アズシステム(TSR企業コード:298728826、千代田区)がある。だが、海外現地法人やシェフズテーブルは債務超過状態(2017年3月時点)で、厳しい経営状況が続く。


 ソルガムHDが発表した2018年3月期決算(連結)は、売上高14億8,600万円に対し23億4,600万円の最終赤字だった。赤字継続に加え、バイオ燃料事業でのスーパーソルガム種子の販売代金の回収遅れなどで、現預金残高は8,200万円にとどまり、手許資金は厳しく「継続企業の前提に関する注記(ゴーイング・コンサーン注記、GC)」が記載された。
 ソルガムHDは東京商工リサーチの取材に対し「(上場廃止後も)現時点で体制変更などは予定しておらず、これまで通りバイオ燃料事業をメインとしていく」(広報担当)とコメント。当面は新たな主力事業を軌道に乗せることができるかが、事業継続の鍵となっている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年9月7日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ