• TSRデータインサイト

ジャスダック上場のフーマイスターエレクトロニクス、突然の投資中止

 ジャスダック上場の(株)フーマイスターエレクトロニクス(TSR企業コード:295124199、千代田区、以下フー社)は7月25日、「連結子会社(特定子会社)への追加出資中止」をリリースした。フー社は、匿名組合に追加出資し、11カ所目となる太陽光発電所を取得すると公表していた。中止の理由は、「事業の採算性や各種リスク等を再度見直した」(リリース資料)としている。
フー社は電子部品の輸出などを手掛け、2017年9月期の連結売上高は557億5,189万円、当期純利益は1,149万円。5月に発表した2018年3月中間連結決算は売上高187億7,815万円、当期純利益は2億7,213万円の赤字だった。

積極的な太陽光発電所への投資

フー社は今年3月28日、子会社のSRエネルギー匿名組合2号に18億9,814万円を出資し、長野県内7カ所の太陽光発電所を取得した。同匿名組合の営業者である、かぶちゃんフーコ合同会社(TSR企業コード:027767221、東京都)は今年3月に設立されたばかりだ。
6月5日、フー社は同匿名組合へ4億2,054万円出資し、同県内3カ所の太陽光発電所を追加取得した。さらに6月27日にも4億4,372万円を同匿名組合へ追加出資し、11カ所目の太陽光発電所を取得予定としていた。

追加出資を突然中止

しかし7月25日、取締役会で同匿名組合への追加出資の中止を決議した。フー社は東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、「総合的に判断した」とだけコメントしている。 TSRの独自取材では、フー社が同匿名組合を通じて出資した太陽光発電所の一部は、ケフィア事業振興会(TSR企業コード:298080745、東京都、以下ケフィア)の所有する土地をかぶちゃんフーコが取得したことがわかっている。
ケフィアグループは売却直前まで太陽光発電所の土地などを担保に提供し、ソーシャルレンディング大手のmaneo(株)(TSR企業コード:297073834、千代田区)から20億円を超える資金を年利15%などで調達していた。
ケフィアは個人会員から太陽光パネルの出資を集め、投資した会員は10年間、太陽光パネルの所有権を持つ契約を結んでいた。昨年11月ごろから個人の会員と支払いのトラブルが表面化し、今年7月に被害対策弁護団が立ち上がっている。
ケフィアの個人会員がパネル所有権を保有する太陽光発電所に、フー社が出資しているか尋ねるとフー社担当者は「詳細はわからない。プレスリリース以外はお答えできない」とコメントした。


フー社が投資したとみられる太陽光発電所(7月撮影)

フー社が投資したとみられる太陽光発電所(7月撮影)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年7月30日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月20日時点) 役員報酬1億円以上の開示は117社・344人

2025年3月期決算の上場企業の株主総会開催が本番を迎えた。6月20日までに2025年3月期の有価証券報告書を510社が提出し、このうち、役員報酬1億円以上の開示は117社で、約5社に1社だった。

2

  • TSRデータインサイト

「想定為替レート」 平均1ドル=141.6円 前期比1.9円円高を想定、4期ぶり円安にブレーキ

主な株式上場メーカー98社の2025年度決算(2026年3月期)の期首ドル想定為替レートは、1ドル=140円が48社(構成比48.9%)と約5割にのぼった。平均値は1ドル=141.6円で、前期に比べ1.9円の円高となった。

3

  • TSRデータインサイト

代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増

マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。こうしたトラブルが後を絶たない。背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

日産自動車の役員報酬1億円以上開示は5人 内田前社長の報酬額は3億9,000万円

 経営再建中の日産自動車が、2025年3月期決算の有価証券報告書を提出した。報酬額1億円以上の個別開示の人数は5人で、前年と同数だった。

5

  • TSRデータインサイト

2024年上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 過去最多の189件、漏えい情報は1,586万人分

2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は、189件(前年比8.0%増)で、漏えいした個人情報は1,586万5,611人分(同61.2%減)だった。 事故件数は調査を開始した2012年以降、2021年から4年連続で最多を更新した。

TOPへ