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MTGOXの債権者、来年6月までにビットコインでの弁済を提案

 2014年2月に仮想通貨「ビットコイン(BTC)」の不正流出により、民事再生法の適用を申請した(株)MTGOX(マウントゴックス、TSR企業コード:298819350、渋谷区)。同年4月には東京地裁から再生手続きを棄却され、破産手続を進めていた。だが、BTCレートが破産時の1 BTC 5万円から2017年12月に200万円超まで急騰し、事態が一変した。
 破産手続きではBTCを現金に換金して配当するが、破産時のレートが配当基準額で、BTC価格が高騰しても配当は倒産時の約5万円となる。このため、2017年11月に一部債権者がBTCでの配当が可能な民事再生法の適用を申し立てた。調査を進めていた東京地裁は2018年6月22日、民事再生手続開始を決定し、破産手続を中止した。
 6月29日には、一部の債権者から委任を受け、民事再生法の適用を申し立てた福岡真之介弁護士(西村あさひ法律事務所)らが、債権者が要望する再生計画案の基本方針を発表した。通常、再生計画案は再生管財人が作成するが、今回は債権者側が提案する異例のケースだ。

 福岡弁護士らの債権者グループによる再生計画案作成の基本方針は、下記の通り。
 1. 計画案はシンプル、確実性のものにする
 2. 株主に対する分配は行わない
 3. BTC債権者に対してBTCなどを分配する
 4. 金銭債権者に対し、一定の保護措置をとる
 5. 第1回弁済は、再生計画認可決定確定後(2019年5月~6月頃を予定)、速やかに行う
 6. 残余財産が生じた場合、または新たに財産が発見された場合は追加弁済を行う
 7. スポンサーの選定は、債権者のメリットが明らかな場合を除き、原則として行わない。

MTGOXが入居していたビル(2018年4月撮影)

MTGOXが入居していたビル(2018年4月撮影)

 MTGOXの倒産処理は、全てが異例ずくめだ。世の中に広く認知されていなかったBTCの配当方法が主な争点となっており、価格も大きく変動している。また、債権者は世界各地に点在しており、債権者間の意思の疎通が難しい。このため、申立代理人はホームページなどで「債権者が関心を持つと思われる事項」(菅野百合弁護士、西村あさひ法律事務所)について情報を公開。
 再生計画案の土台を申立代理人が作成し、ホームページ上で意見を受け付け、債権者の意向を反映した案を作成した。こうした方法で再生計画案が作成されるのは異例だ。
 BTCの価値が倒産処理の間に2,000億円超に膨らみ、債務超過から大幅な資産超過に変貌した。資産超過を「破産」処理できるか見解も分かれていたが、債権者側が再生計画案を作成する手法も注目されている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年7月3日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)


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