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2018年3月期決算 上場企業「継続企業の前提に関する注記」調査

 2018年3月期決算を発表した上場企業2,423社のうち、決算短信で「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン注記)」(以下、GC注記)を記載した上場企業は17社だった。
 2017年9月中間決算(21社)より4社減少し、2017年3月期(23社)より6社減少した。
 事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業に関する重要事象」(以下、重要事象)は36社で、2017年9月中間決算(39社)より3社減少した。
 GC注記と重要事象が記載された企業数の合計は、リーマン・ショック直後の2009年3月期に過去最多の145社を記録したが、その後は減少をたどった。2015年3月期に6年ぶりに増加に転じ、以降は一進一退で推移しているが、2018年3月期は調査開始以来、最少の53社に落ち着いた。
 上場企業は大手輸出企業を中心に好決算が相次ぎ、GC注記や重要事象の記載企業も減少している。ただ、新興・中堅企業を中心に継続的な本業不振に喘ぐ企業は一定数存在し、規模格差による二極化は払拭されていない。


  • 本調査は、全国の証券取引所に株式上場する3月期決算企業を対象に、2018年3月期決算短信で6月11日までに発表された「GC注記」及び「重要事象」を記載した企業の内容、業種を分析した。

GC注記・重要事象の記載は合計53社 前年度本決算から6社減少

 GC注記の記載は17社で、2017年9月中間決算(21社)から4社減少した。中間決算でGC注記を記載した21社のうち、GC注記が外れたのは債務超過を脱した(株)東芝(東証2部、東京都港区)など6社。日本海洋掘削(株)(東証1部、東京都中央区)、中央化学(株)(JASDAQ、鴻巣市)、(株)フルッタフルッタ(マザーズ、千代田区)の3社が新たに記載された。
 なお、中間決算でGC注記が記載されたクレアホールディングス(株)(東証2部、東京都港区)は6月11日現在、連結子会社決算の会計基準統一化作業と精査を理由に決算が未発表。

重要事象 新たに10社に記載

 重要事象を記載した上場企業は36社で、2017年9月中間決算(39社)より3社減少した。中間決算で記載された39社のうち、12社が解消、1社がGC注記に移行した。一方、新たに記載されたのは10社、決算期を2月から3月に変更した(株)ジーンズメイト(東証1部、渋谷区)は中間決算に引き続き重要事象が記載された。なお、2017年9月中間決算で重要事象が記載された(株)省電舎ホールディングス(東証2部、東京都港区)は、過年度決算の一部に不適切な会計処理が発覚し、決算が未発表の状態が続いている。

3月期決算企業 GC・重要事象件数推移

GC注記・重要事象記載 本業不振が8割

 GC注記・重要事象の記載企業53社を理由別に分類すると、44社(構成比83.0%)が重要・継続的な売上減、損失計上、営業キャッシュ・フローのマイナスなど「本業不振」を理由としている。次いで、大幅赤字などで金融機関との融資契約に付随する「財務制限条項に抵触」が9社(同16.9%)、「債務超過」、「再建計画遂行中・その他」、「資金繰り・調達難」がそれぞれ4社(同7.5%)と続く。
 売上・損益の悪化など本業で苦戦が続く企業が圧倒的に多い。財務制限条項に抵触した9社の多くは、期限利益の喪失に該当しないよう金融機関の了解・合意の取り付けを表明している。
 また、債務超過(単体のみも含む)は、日本海洋掘削(株)(東証1部、東京都中央区)、(株)ソフトフロントホールディングス(JASDAQ、千代田区)、田淵電機(株)(東証1部、大阪市淀川区)、夢展望(株)(マザーズ、池田市)の4社だった。債務超過は1年内に解消できなければ原則上場廃止となるため、業績回復による利益確保、あるいは資本増強策などの早急な対応策が求められている。

  • 注記理由は重複記載のため、構成比の合計は100%とならない。

3月期決算企業 GC・重要事象記載企業 理由別

業種別では製造業が約5割 新興市場と中堅規模が中心

 GC注記・重要事象の記載企業53社の業種別は、製造業が25社(構成比47.1%)で半数を占めた。製造業は中堅規模で、大手の下請けメーカーなどを中心としている。上場市場別で、最多は東証1部の17社(同32.0%)で、3割を占めた。業界大手で事業構造の改革に取り組む(株)ジャパンディスプレイ(東証1部、東京都港区)、新業態への参入で業績改善を目指す(株)幸楽苑ホールディングス(東証1部、郡山市)などがある。一方、JASDAQ、マザーズ、名証セントレックスの新興市場は25社(同47.1%)で、全体の半数を占めた。新興市場は売上が小規模で、事業基盤がぜい弱なベンチャー企業が多いのが特徴だった。


 上場企業の倒産はリーマン・ショック直後の2008年に33件発生したが、2014年は1990年以来、24年ぶりに発生がなかった。その後も、2015年は3件、2016年はゼロ件、2017年は2件と一進一退を重ねるが低水準を持続し、2018年は6月11日まで発生がない。
 倒産の減少に伴い、GC注記と重要事象の記載企業も減少し、2018年3月期はピーク時の約3分の1の53社にとどまった。こうした背景は、緩やかな景気拡大と上場企業の業績向上が大きいが、一方で新たにGC注記や重要事象が記載された企業の中には深刻な業績悪化からビジネスモデルの転換を迫られている企業も少なくない。
 景気が緩やかに改善をたどるなか、不振企業は固定化し、大手との業績格差が広がっている。こうした企業が底上げに動き出せるか、引き続きGC注記や重要事象の記載企業から目が離せない。

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