• TSRデータインサイト

製造業で戦後最大の大型倒産のタカタ 創業家のお家騒動が勃発

 エアバッグ異常破裂の問題で2017年6月、製造業では戦後最大の倒産となったタカタ(株)(TSR企業コード:295877413)。今年4月にキー・セイフティー・システムズ社に事業譲渡が完了し、5月23日に再生計画認可決定を受けた。ところが、今度はタカタ創業家の高田重久・前タカタ社長と実母の高田暁子氏との間の「親子喧嘩」で、民事裁判に発展していることがわかった。

事の発端は、タカタの民事再生手続きの終結を睨んだ創業家の資産管理会社の運営についてだ。創業者が相続で揉めないようにグループを形成したが、思惑は倒産で脆くも崩れ去った。親子間でお互いに役員を解任し合うお家騒動。一時はシェアトップを誇ったタカタ一族には、宴の後に場外戦が待っていた。

脈々と連なる創業家の資産管理会社

脈々と連なる創業家の資産管理会社

 東証1部上場だったタカタの大株主は創業家の持株会社TKJ(株)(TSR企業コード:290611300)で、持株比率は過半を超えていた。TKJの親会社は創業家の資産管理会社A社。その親会社はB社、C社、E社と遡り、そしてE社の株主は暁子氏が40%、重久氏(長男)が30%、重久氏の弟(次男)が30%保有し、タカタ創業家の主流だった。
ところが、今回の裁判ではC社がB社に新株発行無効などを求める訴えを東京地裁に起こし、5月8日に1回目の弁論が行われた。

創業家の持株バランスは一手で崩壊

争いの構図は簡単だ。東京地裁の裁判記録によると被告B社の株主は、原告C社51%と訴外D社49%だった。C社は暁子氏系、D社は重久氏系が源流となっている。
原告側は、重久氏と実母の暁子氏の間に軋轢が生じ、重久氏がD社に新株を発行したという。これでD社が51%の過半を占め、C社は49%と過半割れになった。この一手で暁子氏系のC社が本流を外れ、D社に100%出資している重久氏が本流に座った。するとB社の取締役だった暁子氏と次男が今年1月16日、突然解任された。これに対抗し今度は1月18日、C社の代表取締役だった重久氏が解任された。被告側は長年、タカタグループの経営は重久氏が行ってきたと反論している。

東京商工リサーチの取材にB社、C社の代理人はともに「コメントできない」と回答。タカタの関係者は「この裁判は民事再生手続きに影響はない」とあくまでも身内の争いと突き放す。結局、“名門”タカタ一族もお決まりの「争続」に嵌ってしまった。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年6月9日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)


 TSR情報とは

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「退職代行」からの連絡、企業の3割取り合わず 有給や退職日の交渉などの通知を3割が経験

ことし2月、大手退職代行サービスの代表らが弁護士法違反の疑いで逮捕された。4月に入り、退職代行の話題も出始めたが、弁護士や労働組合以外の「退職代行」業者から連絡があっても、3割(30.4%)の企業が非弁行為が含まれる可能性があり、取り合わないことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

「マッサージ業」の倒産が過去30年で最多の108件 大手チェーン、リラクゼーション店と競合激化

店舗乱立による過当競争や光熱費、人件費の上昇で「マッサージ業(療術業)」の倒産が増勢をたどっている。 2025年度に倒産した「マッサージ業」は、1996年度以降の30年間で最多だった2019年度の98件を抜き、過去最多の108件(前年度比14.8%増)に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の「医療機関」倒産 20年で最多の71件 クリニック・歯科医院の淘汰が加速、「破産」が97%超

2025年度に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院を合計した「医療機関」は、71件(前年度比20.3%増)だった。2006年度以降の20年間では、2024年度の59件を大幅に上回り、最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

「士業」の倒産、2年連続最多

「士業」の倒産が目立ってきた。給付金の不正受給の指南や、顧客から預かった資金の流用など、近年はコンプライアンス違反が原因で倒産するケースも目立つ。

5

  • TSRデータインサイト

食品メーカー 売上高は値上げで24兆円に 利益は物価高に値上げが追い付かず二極化

肉・魚加工や菓子類などの「食品メーカー」4,994社の2025年の業績は、売上高24兆2,824億円(前年比3.4%増)、利益は8,806億円(同9.5%減)だった。コロナ禍以降の5年間で売上高は最高を記録した。ただ、利益はコスト上昇で減益の構図が鮮明となった。

TOPへ