• TSRデータインサイト

破産申請の花園万頭、「6月7日までは営業する」

 5月31日、「日本一高い日本一うまい」の看板で知られる(株)花園万頭(TSR企業コード:290958687)が東京地裁へ破産申請した。
 天保5(1834)年創業の老舗で「花園万頭」や「ぬれ甘なつと」などは有名だ。高額所得法人として公示にたびたび登場し、1992年には1億7,048万円を所得として申告していた。一方、バブル期の不動産投資が重く、近年では取引先への支払い遅延や金融債務のリスケなどの噂が飛び交っていた。また、保有不動産の売却など再建に向けた動きを加速させていた。

 破産申請したものの、本社同所の店舗や百官店内の売り場は営業している。6月1日午前10時、東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し店舗スタッフは、「今回のことは(経営層から)昨日聞かされた。6月7日までは営業するが、その後のことは決まっていないと聞いている」と困惑気味に話す。
 店舗2階にある喫茶「花園茶寮」は、入口に「臨時休業させていただきます」との張り紙が掲示されている。店舗内の棚には万頭などがフルラインナップで陳列されているが、別の店舗スタッフによると、6月7日まで休業が続く予定だという。
 午前11時15分、花園万頭の担当者がTSRの取材に応じ、「再建に向けてスポンサー探しを進めていたが上手くいかなかった。税金等の未払いもあり、売掛金差押えの可能性が高く破産を申請した」と述べた。今後については、「6月30日付で従業員を解雇予定。店舗や売り場の運営は当面続けるが、今日から工場の稼働を止めており、万頭など賞味期限の短いものは在庫が無くなり次第、販売を終了する。ただ、スポンサーが決まれば工場を再開し、従業員の雇用も継続する可能性がある」と述べた。

花園万頭の本社(新宿区)

花園万頭の本社(新宿区))

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年6月4日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ