• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2017年決算「役員報酬1億円以上開示企業」調査

 2017年(1-12月)に上場企業決算で1億円以上の役員報酬を開示した企業は335社、人数は627人で、ともに最多記録を更新した。
 社数は前年(310社)を25社、人数も前年(557人)を70人上回った。東日本大震災後の2012年に初めて人数が前年を下回ったが、その後は5年連続で人数は増加をたどっている。これを裏付けるように2年連続で登場した424人のうち、約6割の250人(構成比58.9%)のが前縁より役員報酬が増えている。
 役員報酬の最高は、ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長の103億4,600万円。前年に自身が記録した64億7,800万円を抜き、役員報酬の最高額を更新した。
 開示人数の最多は、三菱電機の22人。前年23人より1人減少したが、4年連続トップを守った。
 役員報酬1億円以上の個別開示制度は2010年3月期から開始され、2011年から7年連続で登場している役員は128人だった。


  • ※本調査は、全証券取引所の上場企業3,700社を対象に、有価証券報告書から役員報酬1億円以上を個別開示した企業を集計した。上場区分は2018年5月14日時点。

役員報酬開示人数

役員報酬開示人数

役員報酬額 ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長が最高記録を更新

 2017年の役員報酬の最高額は、ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長の103億4,600万円だった。前年に自身が記録した過去最高額(64億7,800万円)の1.6倍に達した。同氏は孫正義社長の後継者含みで2014年に入社、2015年6月に代表取締役に就任したが、2016年6月の株主総会で取締役を退任した。報酬はソフトバンクグループと連結会社からで、内訳は基本報酬3億300万円、株式報酬11億9,600万円、退任費用88億4,700万円だった。
 2位は、ソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長で24億2,700万円(前年20億9,600万円)。3位は、セブン&アイ・ホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント取締役で18億9,500万円(同21億8,700万円)。4位は、ブリヂストンのエデュアルド・ミナルディ元副社長で12億2,400万円(同7億5,000万円)。5位は、ソニーのマイケル・リントン元執行役の11億4,000万円(前年開示なし)。毎年、株主総会で自身の報酬額を公開し話題となる日産自動車のカルロス ゴーン会長は10億9,800万円で7位だった。
 トップ10位のうち7人が外国人で、特に5位までは外国人が独占した。日本人の最高額は6位セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文元会長の11億3,200万円(前年2億8,200万円)。
 これまで役員報酬は、役員退職慰労金(引当金繰入額を含む)が目立ったが、2017年はソフトバンクグループが株式報酬、ソニーが業績連動などで増加し、報酬体系にも変化が見られる。
 2011年以降、7年連続の登場は128人(構成比20.4%)。10億円以上は8人で、前年と同数だった。また、2億円以上10億円未満は145人(前年130人)で、役員報酬の高額化が進んでいる。

役員報酬額

役員報酬額

 2010年3月期から役員報酬の個別開示が開始され、まもなく9年目を迎える。2017年は、電機や自動車メーカー、商社など、業績好調な企業を中心に、社数・人数とも過去最多を更新した。
 役員報酬は依然として基本報酬が主体だが、業績を反映した賞与アップ、業績連動報酬などが増えている。さらに、ストックオプションや株式報酬など非金銭報酬も徐々に増えており、役員は業績だけではなく、企業価値の向上を求められている。
 一方、業績と関係ない退職慰労金制度を廃止する企業も増えている。役員報酬の個別開示は、当初、個人情報などの観点から個別開示に反対する声も多かった。だが、個別開示が開始されると同業他社と役員報酬額や報酬制度を比較できるようになり、ステークホルダーにも報酬額のベンチマークとして評価されるようになっている。
 役員報酬の個別開示で、株主や従業員、取引先など多くのステークホルダーから経営方針、業績、配当、会社への貢献度など、様々な観点で報酬額の妥当性が判断されるようになった。ここ数年、コーポレートガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)の重要性が増し、役員報酬が妥当かどうかの説明責任はより求められている。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ