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2017年度「歯科医院」の倒産状況

 2017年度(4月-3月)の「歯科医院」の倒産は20件で、前年度からほぼ2倍増(前年度比81.8%増)と大幅に増加した。年度では1994年度(20件)以来、23年ぶりに20件台となった。
 負債総額は11億500万円(同36.2%増)で、件数増で膨らんだ格好。年度では5年ぶりに増加したが、負債1億円未満が18件(構成比90.0%)と大半を占め、小規模な歯科医院の倒産が多い。
 歯科医院は開業時の設備投資はリース充当などで自己資本を多く必要としていないため参入のハードルが低く、繁華街や中心部など人の集まる地域で開設が相次ぎ、競合が激化している。一方、人口減による患者減少や歯科衛生士などの人件費上昇も深刻で、小規模な歯科医院が苦境に立たされる厳しい実態を浮き彫りにしている。


  • ※本調査は、「日本標準産業分類 小分類」における「歯科診療所」の倒産を集計、分析した。

「歯科医院」倒産は20件

 2017年度の「歯科医院」倒産は20件(前年度比81.8%増)で、2年連続で前年度を上回り、前年度の11件からほぼ2倍増と急増した。年度では2015年度が7件、2016年度が11件と落ち着いていたが、1994年度の20件以来、23年ぶりに20件台に乗せた。

「負債総額は5年ぶりに増加

  負債総額は11億500万円(前年度比36.2%増)で、年度では5年ぶりに前年度を上回った。ただ、負債5億円以上の大型倒産は2年連続で発生がなく、同1億円未満が18件(同125.0%増)と前年度8件から2.2倍増となった。同1億円未満の構成比は90.0%で、小規模倒産が大半を占めた。

歯科医院の倒産 年度推移 

原因別、販売不振(業績不振)が6割

 原因別では、最多は「販売不振」の12件(前年度比33.3%増、前年度9件)で、全体の6割(構成比60.0%)を占めた。次いで、「既往のシワ寄せ」が4件(同300.0%増、同1件)。
 形態別では、事業消滅型の破産が19件(同90.0%増、同10件)と全体の9割(構成比95.0%)を占めた。いったん顧客離れが進んだ歯科医院の再建は容易でないことを示している。再建型の民事再生法は1件(前年度同数)だった。

従業員数別、5人未満が9割

 従業員数別では、5人未満が18件(前年度比80.0%増、構成比90.0%)と、小規模医院が全体の9割を占めた。このほか、10人以上20人未満が1件(前年度ゼロ)、20人以上50人未満が1件(同ゼロ)と続く。

主な倒産事例

 (医)泉川歯科医院(TSR企業コード:282175393、茨城県)は、地域に根差した歯科医療機関として知られていた。2014年3月期の売上高は5,376万円を計上したが、競合や過疎化で患者数が伸びず、2017年3月期の売上高は4,746万円まで低迷。さらに東日本大震災の被害に伴う新診療所の開設が負担となり債務超過が拡大し、事業継続を断念。2018年3月、水戸地裁より破産開始決定を受けた。負債総額は8,700万円。


 歯科医師国家試験の合格者は2017年が1,983名で、ここ10年間では2010年の2,408名をピークに毎年2,000名前後で推移している。一方、日本の人口は2008年をピークに減少をたどり2017年10月1日時点では1億2,670万人と前年比0.18%減で減少率は広がっている。国立社会保障・人口問題研究所によると、将来人口(中位推計)は2055年に1億人を割り込む見込みで、経営環境の改善は難しいのが実情だ。
 患者数が着実に減少をたどる中、厚生労働省が2018年3月に公表した「医療施設動態調査(平成30年1月末概数)」によると、歯科医院の施設数は6万8,791カ所と10年前の2008年1月末の6万7,840カ所から951カ所増えている。歯科医院は医療機器のリース導入で初期投資を抑えて比較的容易に開設できる。このため、患者数が見込める人口の多い首都圏や利便性の高い駅前などに歯科医院の開設が相次ぐ要因になっている。
 歯科医院間の患者争奪戦は激しく、保険診療だけの経営維持は難しくなっている。生き残りをかけて自由診療のインプラントやホワイトニング、美容歯科など、独自色を出した集客競争が繰り広げられている。さらに、ここにきて歯科衛生士、事務スタッフなどの人手確保へのコスト上昇も大きな課題に浮かび上がっている。
 テナント代や設備投資に加え、詰め物金属など歯材コストも上昇し、歯科医院の経営は年々難しさを増している。こうした環境を反映して2018年4月も2件の倒産が発生しており、歯科医院の倒産は小規模医院を中心に増加をたどる可能性が高い。

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