• TSRデータインサイト

年金データ無断再委託のSAY企画、「一部の事業はやめたが、一部の事業は続けている」

 日本年金機構から委託された528万人分のデータ入力業務の一部を無断で外部に再委託していた(株)SAY企画(TSR企業コード:295785276、豊島区、切田精一社長)が、4月末から電話での連絡が取りにくい状態になっている。
 取引先の一部からは、4月末支払いが「5月1日午前までに振り込まれていない」との話も聞こえてくる。

 SAY企画の代表電話は、4月27日午後から繋がりにくい状態が続いている。27日15時過ぎにSAY企画本社を訪問すると、応対した女性は「電話を減らしているため繋がりにくいのだと思う。じきに繋がるはず」とコメントした。
 だが、5月1日午前11時、本社の代表番号に電話しても話し中で繋がらない状態だ。大宮事業所(埼玉県)の電話は、呼び出し音は鳴るものの応対はない。午前11時半に大宮事業所を訪問すると入口シャッターは閉まっており、中に人影は見当たらない。

 SAY企画の男性従業員は5月1日午前、TSRの取材に応じ、「一部の事業はやめたが、一部の事業は続けている」とコメントした。SAY企画の取引先は、「データ入力はやめたが、web関連の事業は通常通り続けていると聞いた」という。
 TSRのデータベースでは、SAY企画の切田精一社長はA社の取締役を兼務している。A社の企業情報はTSRのデータベースに詳細情報はなく、電話番号もNTTの番号案内(104)に登録されていない。A社の商業登記簿の事業目的は、「コンピュータによる情報処理事業」などが記載されているが、営業活動は判然としない面が多い。

SAY企画が入居するビル(5月1日午前撮影)

SAY企画が入居するビル(5月1日午前撮影)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年5月2日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ